植物性食と動物性食の比率が心血管疾患予防に与える影響
最近の研究で、心臓病や血管の病気を予防する上で、お肉と野菜の比率を変えることに意味があるという証拠が増えてきているようです。
植物性食品を増やして動物性食品を減らすことが、どのように心血管疾患予防に働くかを見ていきます。
心血管疾患(CVD)とは?
心血管疾患とはどのような状態を指すのでしょうか。
心血管疾患(CVD)は、心臓や血管に関する病気の総称で、具体的には心筋梗塞、狭心症、脳卒中、高血圧、動脈硬化などが含まれます。
日本でも、生活習慣病のひとつとして重要視されており、死亡率・発症率を減らすことが大きな課題となっています。
食事の習慣は、この心血管疾患のリスクを左右する大きな要因のひとつです。
植物性と動物性のちがい
動物性食品(お肉、加工肉、バター、乳製品など)には、飽和脂肪酸やコレステロールが多く含まれることがあります。
これらは血管に負担をかけ、動脈硬化や高コレステロール血症と関係すると考えられています。
一方で、植物性食品(野菜、果物、豆、ナッツ、全粒穀物など)には、食物繊維や抗酸化物質、良質な脂肪(不飽和脂肪酸)が豊富です。
これらは血管を守り、炎症を抑える働きがあるとされます。
2021年に行われた大規模な解析では、植物性食品を多く食べている人は、そうでない人に比べて 心血管疾患のリスクが約16%低い という結果が出ました。
また、冠状動脈疾患(心筋梗塞など)のリスクも下がっていたそうです。
特に効果的だったのは、全粒穀物・野菜・果物・豆・ナッツといった健康的な植物性食品でした。
このようなことから、植物性食品を多めに摂って動物性食品を少し減らしたり、動物性食品を植物性に置き換えたりすること、また、植物性食品を多めに、動物性食品を少し減らすことが心臓や血管の健康に直結することがわかっています。
具体的な比率や置き換え例
研究から得られた目安を、普段の食事に取り入れるにはどのようにすればよいでしょうか。
例えば次のような置き換えがおすすめされそうです。
-加工肉をナッツに替える:ナッツは良質の脂肪・食物繊維・抗酸化物質が豊富で、心血管系を保護する成分が多いとされています。
-赤肉を全粒穀物・豆類に替える:総合的な死亡リスクやCVD発症率が低下するデータがあるようです。
-バターをオリーブオイルに替える:飽和脂肪酸の摂取が減ることで、LDLコレステロール値などが改善し、心血管疾患リスクを下げる傾向にあるようです。
-卵をナッツまたは豆に替える:卵は多くの人にとって便利なたんぱく源ですが、ナッツや豆を増やすことで植物性タンパク質と食物繊維・抗酸化物質を同時に摂れるようになり、CVDリスクの軽減が見られるようです。
比率としては、食事のうち、植物性食品が占める割合を明らかに上げることがおすすめされます。
実際に今日から始められる工夫には、つぎのようなことがあります。
-週に1~2日は、植物性の日にしてみる
-主食を白米から玄米や雑穀に変える
-副菜に豆やナッツをプラスする
-調理油はオリーブオイルやえごま油を中心にする
-おやつは果物や素焼きナッツにする
少しの工夫でもコツコツ積み重ねることが心血管疾患から身を守ることにつながります。
注意点
ただし、いくつか気をつけたいことがあります。
植物性食品を増やすあまり、ビタミンB12、鉄、亜鉛
、オメガ3脂肪酸(特にDHAやEPA)などが不足しないようにすることが大切です。
また、食品には個人差が大きいことにも留意が必要です。
更には、日本人の身体は外国人とも異なり、食べ物の伝統も違うなどのことからも、必ずしも私たちに当てはまるかは別です。
年齢・性別・遺伝・生活習慣(運動・睡眠など)・体質などによって効果の現れ方が異なることも忘れないようにしましょう。
まとめ
動物性食品をたくさん食べ続けるより、植物性食品をできるだけ意識して増やし、動物性食品を部分的に置き換えることで、心血管疾患の発症リスクや死亡率を下げるという研究が多数あります。
特に、健康的な植物性食品を中心とする食事(全粒穀物・豆類・ナッツ・果物・野菜など)が力を発揮します。
小さな変化から始めることが大切です。
無理に完全菜食にするのではなく、自分の生活に取り入れられる範囲での変更を心がけることで、続けやすく、効果も積み重なるのではないでしょうか。
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引用文献:
Substitution of animal-based with plant-based foods on cardiometabolic health and all-cause mortality
Plant-based diets, characterized by a higher consumption of plant foods and a lower consumption of animal foods, are associated with a favourable cardiovascular disease risk
        





