過敏性腸症候群(IBS)や下痢に酵母菌サッカロマイセスブラウディ?

2022年06月30日

マイクロバイオームと腸内

プロバイオティクスは、適切な量で投与すると、宿主に健康上の利益を与える生きた微生物です。

サッカロマイセス・ブラウディは、下痢症状などの消化管障害の治療によく用いられるプロバイオティクス酵母です。

その特性には腸内バリア機能の改善、病原体の排除、免疫調節、栄養効果などが報告されていることで知られています。

天然の抗生物質ともいえるサッカロマイセス・ブラウディのプロバイオティクスについて改めて深堀り再確認します。

プロバイオティクスとサッカロマイセス・ブラウディ

一般的に使用されるプロバイオティクスは、ヒトの胃腸管に見られる乳酸菌(ラクトバチルス属、バチルス属、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属)を含みます。

これらのプロバイオティクスは単独で使用することも、互いに組み合わせることもできますが、すべての組み合わせが安定しているわけではありません。

同じプロバイオティクス細菌の異なる株が同じ種に属していても、異なる能力を発揮する可能性があります。

プロバイオティクスの特性は種や株でも大きく異なります。その多くは発酵食品に含まれますが、酵母の中にもプロバイオティクス特性を示すものが一つだけあります。

それがサッカロマイセス・ブラウディです。

サッカロマイセス・ブラウディは、毎日適切な量で摂取することにより、腸内細菌のバランスを整え、安定させる特性があります。

その特性は、多くの論文や臨床試験により確認されています。

サッカロマイセス・ブラウディは、下痢などの急性胃腸疾患や炎症性腸疾患などの慢性疾患の治療に有効とされています。

-健康な微生物叢をサポート:
サッカロマイセス・ブラウディは、腸内で酪酸を産生する細菌の数を増加させ、腸内微生物叢にとって快適な環境を作り出していると考えられています。

また、炎症を軽減する短鎖脂肪酸の後の微生物叢の回復を促進することでも知られます。

-腸細胞の損傷保護:
サッカロマイセス・ブラウディは腸粘膜と相互作用して上皮細胞層を保護し、創傷修復を強化し、腸管漏れを予防、治療するとされています。

-消化の改善:
サッカロマイセス・ブラウディは、消化酵素の腸内活性を高め、消化器系の問題をサポートする可能性があります。

この酵素活性の増加により、過敏性腸症候群(IBS)や下痢に関連する、炭水化物の吸収を改善する可能性があります。

-栄養素の放出:
サッカロマイセス・ブラウディは、アミノ酸、核酸、ポリアミン、アンチオキシダントで知られる抗酸化物質、フラボノイド、ビタミンB群、ミネラル、β-グルカンなどのプレバイオティクスを含む1,500種類の物質を放出し、宿主および微生物叢の栄養を高めるとされています。

-病原体の排除:
サッカロマイセス・ブラウディは、腸内病原体に対する保護を助け、様々な原因による下痢のリスクを軽減することが報告されています。

サッカロマイセス・ブラウディの抗菌効果

国際的なガイドラインでは、ロタウイルス感染によって引き起こされる胃腸炎の子供にサッカロマイセス・ブラウディの使用を推奨しています。

それにより、正常な微生物叢の回復を助け、下痢の減少を助けます。

サッカロマイセス・ブラウディはまた、胃腸感染症や過敏性腸症候群(IBS)による下痢のリスクを減少させます。

IBSと下痢のある人を対象としたある研究では、サッカロマイセス・ブラウディ(200mgを1日3回)を補給した結果、1ヶ月後にIBSの症状が改善したという研究結果が出ています。

このように、サッカロマイセス・ブラウディは健康な腸内微生物を保護し、回復させることによって安定させる力があります。

また、サッカロマイセス・ブラウディがカンジダ菌に対抗する中鎖脂肪酸であるカプリン酸を分泌することがわかっています。

これにより、サッカロマイセス・ブラウディは、ヒト真菌感染症の最も多いトラブルの一つである、であるカンジダ菌過多を防ぐことが示されています。

サッカロマイセス・ブラウディは抗真菌薬によってのみ影響を受け、抗生物質の影響を受けません。

この点で、細菌性のプロバイオティクスよりも大きな利点があります。

まとめ

サッカロマイセス・ブラウディは一般的なプロバイオティクス細菌とは異なり酵母であるため、特性が異なります。

抗真菌薬によってのみ影響を受け、抗生物質の影響を受けない、真菌感染症であるカンジダ菌にも効果が期待できるプロバイオティクスとして注目されています。

一般的なプロバイオティクス細菌以外をお探しの場合は、一度お試しいただくことも方法の一つかもしれません。

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引用文献:
Probiotic Benefits of Saccharomyces boulardii
Saccharomyces boulardii: What Makes It Tick as Successful Probiotic?

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