健康的なたんぱく質の食事とプロテイン摂取量
流行りのダイエットの中には、糖質制限やキトジェニックというケトン体ダイエットなどありますが、健康を意識する場合、炭水化物やプロテインと呼ばれるたんぱく質が多い食事で良いのでしょうか。
たんぱく質の食事やプロテイン摂取:
たんぱく質又はそれを意味するプロテインは必須な栄養素で知られています。
糖類も含む炭水化物類を食事で減らす場合、何を逆に増やすようにするのでしょうか?
多くの人はたんぱく質を増やすという回答をしているようですが、たんぱく質はどれもが同じというわけでもなく、ただ増やせば良いということでもなさそうです。
たんぱく質やアミノ酸の働き:
体内のたんぱく質が意外と思われるかもしれませんが、少なくとも10,000以上の異なるたんぱく質で私たちの身体がつくられていることが報告されています。
アミノ酸でつくられるものの、体内では置いておくことができないことからも、どうしても私たちはたんぱく質を食べ物や食事から摂取しておく必要があるようです。
体内で必要とされるたんぱく質の摂取量:
アメリカの国立医療アカデミーがおすすめする1成人あたりのたんぱく質摂取量についての報告では、1日あたりに体重1キログラムにつき0.8グラムが最低の必要量であることを伝えています。
その一方で、たんぱく質の摂取量過多についての懸念もあります。
例えば、医療と健康のNPOイーマ(International Healthcare Management Association Japan)で先月講師として登壇いただき、国際的にがんの検査で定評があり、以前にアメリカの大統領ともやり取りがあったことでも知られる小林常雄医学博士のお話しや、著書「がんの正体がわかった!」の中でも伝えられた内容は肉食やたんぱく質の摂取量が高い人にはショッキングな内容です。
その中身とは、たんぱく質の摂取量が1日の食事量の10%を超えると、がんになるリスクが一気に高まるというものです。
そのように毎日のたんぱく質の摂取量は全体の食事の中の10%以下に抑えることをおすすめされる専門家もいることも確かです。
ちなみに同博士によると、たんぱく質の量を全体の食事の5%にした場合と、20%にした場合は、がんになるリスクが、3倍も差が出てしまうということです。
また、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどに含まれるたんぱく質のカゼインの摂取量が高くなることが、日本国内における女性の乳がんの数を大幅に増やしているというものでした。
摂取量によっては、乳製品を食事で摂取しない人との比較では、最大100倍もの差が出ることも報告されています。
たんぱく質又はプロテインの摂取量は食事でも多すぎる可能性?:
アメリカの「公衆衛生上の栄養」が発行するたんぱく質の摂取量についての比較検討の記載記事報告によると、アメリカだけにとどまらず、日本を含む経済大国は既に食事から十分なたんぱく質を補っており、不足することは、一般的な食事をしている限りはあまりないことを伝えています。
私たち日本人からすれば、確かに数十年前までは、肉類を食事で食べる頻度は現在よりも少なかったといえます。
70代の方々の記憶では、1週間に1回あるいはそれ以下の頻度だったかもしれません。
むしろ、たんぱく質は肉類よりも魚や大豆からの摂取が多かったといえます。
小林先生が示されるがんと年代の比較グラフを観る限りでは、肉類や乳製品をはじめとする西洋的な食事が一気に増え始めたころから、比例してがんになる人の数も国内で増えています。
そのようなことからも、安易に糖質制限やキトジェニックというケトン体ダイエット、あるいは過剰なプロテインドリンクの摂取などが流行っているという理由でたんぱく質の摂取量を大きく増やすことはおすすめとは言えないのかもしれません。
情報源:
NPOイーマ(第145回)定例会健康セミナー
2019年2月15日開催
テーマ:もうがんは怖くない。今日知的な早期がん発見法と最も効果的な治療法
講師:小林常雄医学博士
小林常雄医学博士著書「がんの正体がわかった!」創藝社出版
アメリカの国立医療アカデミー 主要栄養素の食事摂取基準値参照
Public Health Nutrition(米国公衆衛生上の栄養)2016 6月号;19(8):1358-67。