脳の健康に週1個の卵で認知症リスクが半減？卵と脳の深い関係
「卵は健康にいい」とよく言われますが、最近の研究で注目されているのは、卵が“脳の健康”にも深く関わっているという点です。
アメリカでおこなわれた最新の研究によると、卵を週に1個以上食べる習慣がある高齢者は、アルツハイマー型認知症のリスクが大幅に低下することが明らかになりました。
私たちにとって身近な食材である卵が、実は脳の働きを支える重要な役割を果たしている可能性があるのです。
研究内容と、卵と脳の深い関係を探っていきます。
卵を食べる人は認知症になりにくい？
おこなわれた研究では、認知症を発症していないと診断されていて、しかもいわゆる健康と定義されている高齢者を対象におこなわれたものです。
それらの高齢者の1000人を対象に行われました。
参加者は、自分が普段どれくらい卵を食べているかを詳細に記録しました。
その後、約6～7年にわたり追跡調査を実施し、どのくらいの人がアルツハイマー型認知症（AD）を発症したのかを確認しました。
その結果、驚くべきことに、週に1個以上卵を食べていた人は、アルツハイマー型認知症の発症リスクが約47％低下していたのだそうです。
これは、卵をほとんど食べていなかった人たちと比べた場合の数値です。
さらに、研究の一部では参加者の死後の脳を調査して、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβやタウたんぱく質の蓄積がどの程度あったかを分析しました。
その結果、卵を多く食べていた人ほど、脳内の異常な変化が少なかったことが分かったようです。
つまり、「卵をよく食べていた人の脳は、健康な状態に近かった」ということです。
卵が脳にいいのか？
卵が脳に良いとされる理由には、その栄養の豊富さにあります。
特に注目されているのは以下の成分です。
コリン：神経伝達物質「アセチルコリン」の材料となり、記憶力や学習能力をサポートします。
ルテイン：抗酸化作用があり、脳細胞をストレスから守ります。
DHAなどのオメガ3脂肪酸：脳の構造と働きを助ける必須脂肪酸。
研究では、卵による認知症リスク低下のうち、約39％はコリンの摂取によるものと推定されました。
コリンは特に卵黄に多く含まれています。
コリンを摂取しようとした場合に、卵を食べることは最も手軽な選択肢の一つと言えそうです。
コレステロールは大丈夫？
かつて「卵はコレステロールが多いから1日1個まで」と言われていましたが、近年では見直されています。
現在では、健康な人であれば1日1～2個程度の卵は問題ないとする専門家が多く、アメリカの栄養ガイドラインでも「1日1個の卵は安全」とされています。
糖尿病や高コレステロール血症など持病がある方は、医師と相談のうえで摂取を考えましょう。
また、卵にアレルギーを持つ場合には、上記に述べられた内容と当てはまらない点が含まれている可能性がありますので、留意が必要となると言えます。
まとめ
この研究結果は、週に1～2個の卵の摂取が、高齢期の脳の健康を支える可能性があることを示しています。
卵は比較的に安価で手に入りやすく、栄養価も高く、調理も簡単な食材です。
その上、嬉しいことに空腹感を比較的早く満たしてくれるありがたい食品であることでも知られているところです。
朝食にゆで卵を1つ加えるだけで、脳の健康維持に必要な栄養素がしっかり補えるということは、とても実用的で心強いことですよね。
もちろん、卵だけに頼るのではなく、魚や野菜、ナッツ、全粒穀物などを含むバランスの取れた食事や、適度な運動、知的活動、社会とのつながりなど、総合的な生活習慣の改善が大切です。
この研究は今後の予防医学や栄養指導にも大きな影響を与える可能性があります。
卵が脳の健康を守る「日常のスーパーフード」として見直される日も近いかもしれませんね？
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引用文献：
Association of Egg Intake With Alzheimer’s Dementia Risk in Older Adults: The Rush Memory and Aging Project
Eating 1 egg per week linked to lower Alzheimer’s risk, study finds
