カンジダと糖代謝・脂質代謝の意外な関係?
腸内環境というと、善玉菌やビフィズス菌が注目されがちですが、腸の中には真菌と呼ばれるカビの仲間も棲んでいます。
その代表がカンジダ属、特にCandida albicans(カンジダ・アルビカンス)です。
通常は無害な常在菌ですが、食生活やストレス、抗生物質の影響などでバランスが崩れると、急に増殖して腸内環境に影響を与えることがあります。
最近の研究では、このカンジダが腸内の糖代謝や脂質代謝に関わっている可能性が指摘されているようです。
カンジダと糖代謝、脂質代謝について探ります。
糖を好むカンジダ?
研究により、カンジダが糖を好む性質を持ち、腸内でグルコースや単糖類を利用して増殖することがわかっています。
これにより、砂糖や精製炭水化物を多く摂る食生活が続くと、腸内でのカンジダの比率が上がることが報告されています。
一方、腸内でカンジダが増えすぎてカンジダが腸内で優位になる状態が続くと、代謝の副産物として、アセトアルデヒドや有機酸が発生し、腸のバリア機能やインスリン感受性に影響する可能性があるともいわれています。
2023年に発表された論文では、腸内でのカンジダの増殖がインスリン抵抗性の一因となる可能性が示唆され、「腸内の真菌の増加が血糖コントロールの乱れに関係しているかもしれない」ということが報告されました。
つまり、カンジダは単に腸内に棲むカビというだけでなく、体内の糖の存在を左右する重要な存在でもあるようです。
脂質代謝への影響と炎症?
さらに近年では、カンジダと脂質代謝の関係も研究が進んでいるようです。
カンジダは、脂肪酸を利用して生存し、細胞膜の材料にもしています。
腸内環境が乱れると、カンジダが脂肪酸代謝経路を変化させ、炎症性の代謝物を放出することが確認されています。
この反応は肝臓や脂肪組織にも影響を及ぼすようです。
それにより、慢性炎症や脂質異常、代謝性疾患との関わりが地理沙汰されています。
たとえば2024年には、カンジダの代謝が、肝脂肪蓄積の発症リスクと関連する可能性があると報告されました。
腸内でのカンジダの活動が、肝臓や血中の脂質バランスに影響するという考え方は、引き続き今後の研究の焦点になりそうです。
今日からできる食生活のヒント
カンジダ過多を防ぎ上手に共生するためには、「糖」と「脂」のバランスを整えることがポイントと言えそうです。
過剰に糖を控えるのではなく、血糖の上下をゆるやかに保つ工夫が大切です。
炭水化物を摂るときは、食物繊維やたんぱく質と組み合わせると、腸内環境をより穏やかに保つことができます。
また、脂質の種類にも注目です。
オメガ3脂肪酸を含む魚や亜麻仁、えごまなどの食品は、腸内での炎症反応を穏やかにする働きが報告されています。
反対に、揚げ物や加工脂肪を控えるだけでも、カンジダが増えにくい環境づくりに役立ちます。
このように、腸にやさしい糖と脂を選ぶ習慣は、真菌と細菌の両方にとって心地よいバランスを保ち、体の代謝リズムを自然に整える助けになってくれそうです。
まとめ
カンジダは、これまで、過剰増殖でトラブルを起こす菌として知られてきました。
しかし最近の研究では、糖や脂質の代謝に深く関わる可能性が注目され、腸内環境を通じて全身の代謝やエネルギー管理に影響を与えていることが分かってきました。
糖質の摂り方や脂質のバランスを見直すことは、カンジダとの共生をうまく保つ方法の一つでもあります。
腸内真菌を整えるという視点から、からだ全体の代謝を見直してみるのも良いタイミングかもしれませんね。
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引用文献:
Abnormal proliferation of gut mycobiota contributes to the aggravation of type 2 diabetes mellitus






