脂肪肝に効果?レシチンと肝臓の健康の関係とは
レシチンと聞くと、記憶力や認知症予防といった脳との関わりを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、肝臓との関係については、意外と知られていないのではないでしょうか。
実は、レシチンは肝臓の脂肪代謝や細胞膜の保護に深く関わっていて、脂肪肝の予防や改善にも注目されているようです。
レシチン(ホスファチジルコリン)が肝臓でどのような役割を果たし、脂肪肝の予防や改善にどう関わるのかについてご紹介します。
脂肪肝とは?
脂肪肝とは、その名の通り肝臓に脂肪がたまりすぎている状態です。
お酒が原因になるアルコール性脂肪肝もありますが、最近増えているのは、非アルコール性脂肪肝です。
非アルコール性脂肪肝は、生活習慣病や肥満、糖尿病と深く関わりがあり、放っておくと肝炎や肝硬変、さらには肝がんに進行することもあります。
日本でも40代以降を中心に広がっていて、「自分は大丈夫」と思っている方でも人間ドックで指摘されるケースが増えているようです。
「沈黙の臓器」とも呼ばれるように、肝臓は症状が出にくいので、気づいたときには進行してしまっていることも少なくありません。
レシチン(ホスファチジルコリン)の役割
レシチンは、卵黄や大豆などに含まれるリン脂質の一種です。
中でも特に注目されるのがホスファチジルコリンで、肝臓の細胞膜を安定させるだけでなく、脂肪の代謝や輸送に関わっています。
肝臓では、余分な脂肪を「VLDL(超低比重リポタンパク)」という形にして血液に送り出しています。
このとき、ホスファチジルコリンが不足すると、脂肪をうまく輸送できずに肝臓にたまってしまいます。
このことからも、ホスファチジルコリンは脂肪肝予防にとって大切な栄養素といえます。
レシチンと肝臓
ここ数年の研究で、レシチン(ホスファチジルコリン)が肝臓にどのような働きをしているのか、少しずつ分かってきています。
たとえば人を対象にした臨床研究では、ホスファチジルコリンをとることで肝臓にたまった脂肪が減り、血液検査でよく使われる肝機能の数値(ALTやAST)が改善する可能性があると報告されています。
特に非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の方にとっては、食事や運動といった生活習慣の見直しと組み合わせることで、効果が高まりやすいと考えられています。
また、脂肪肝では脂肪が酸化して炎症を起こしやすいのですが、ホスファチジルコリンには酸化や炎症をやわらげ、肝臓の細胞を守る力があることも分かってきました。
これは肝臓がダメージを受けにくくなることを示しています。
さらに、動物を使った実験でもホスファチジルコリンが脂肪肝を防ぐ効果が確認されており、人での研究も少しずつ増えているようです。
レシチンを食べ物からとるには?
ホスファチジルコリンは次のような食材に豊富に含まれています。
-卵黄:レシチンをもっとも効率よくとれる食品のひとつ
-大豆・大豆製品:豆腐、納豆、豆乳など
-ひまわりの種:アレルギー対応のレシチンとして注目
-レバー:コレステロールが高いため食べすぎには注意
「脂肪肝だから卵は控えたほうが良い」と言う声も聞かれますが、最新の研究では卵黄に含まれるレシチンや他の栄養素をうまく活かす方が健康につながると考えられています。
ただし、摂取量や食生活全体のバランスには留意する必要がありそうです。
ホスファチジルコリン入りのサプリメントもありますが、まずは食事での接種をお勧めします。
ホスファチジルコリンを摂取するために日常でできる工夫としては、次のようなものがあります。
-朝食にゆで卵を1つ加える
-納豆や豆腐を毎日の食事に取り入れる
-野菜と一緒に卵を使った彩り料理を楽しむ
肝-臓に負担をかけないよう、アルコールや加工食品を控える
こうした小さな工夫を積み重ねることが、レシチンの力を活かしつつ、脂肪肝を予防・改善する近道と言えそうです。
まとめ
レシチン(ホスファチジルコリン)は、肝臓の脂肪代謝や細胞の保護に関わる重要な成分です。
脂肪肝の管理のためには、食事のバランス・適度な運動・体重管理、アルコールを控えることをまずは意識しましょう。
そのうえで、卵や大豆製品など身近な食材からレシチンを取り入れ、肝臓をいたわっていきましょう。
Regression of Liver Steatosis Following Phosphatidylcholine … (NAFLD, PMC). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8960636/
Lecithin and cardiovascular health: a comprehensive review. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11246377/
Dietary phosphatidylcholine and risk of all-cause and cardiovascular mortality. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4919531/
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引用文献:
Regression of Liver Steatosis Following Phosphatidylcholine Administration: A Review of Molecular and Metabolic Pathways Involved
Lecithin and cardiovascular health: a comprehensive review






