小麦を含まない食事で多発性硬化症の痛みを軽減?

2024年02月26日

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研究によると、小麦を含まない食事は多発性硬化症の痛みや炎症を軽減するのに役立つ可能性があるようです。

小麦に含まれるグルテン以外のタンパク質が炎症を引き起こし、多発性硬化症の症状を悪化させる可能性があると考えられています。

多発性硬化症の症状と小麦を避ける食事との関連を探ります。

多発性硬化症とは?

多発性硬化症は免疫細胞が神経細胞を攻撃して炎症を引き起こし、筋力低下、疲労、視覚障害などのさまざまな症状を引き起こす神経性の疾患です。

多発性硬化症は、現在世界中で推定280万人が罹患していると言われています。

多発性硬化症の正確な原因は不明ですが、研究者によると多発性硬化症は自己免疫疾患であり、本来は病気から身を守るはずの細胞が、自身の細胞を攻撃するものであると考えられています。

多発性硬化症では、主に次のような症状が引き起こされます。

-筋力低下、歩行と可動性の変化
-しびれ、うずき、痛み
-膀胱や腸のトラブル
-倦怠感
-視力の問題
-うつ病などの感情の変化

研究によると、免疫細胞の活動によって引き起こされる炎症は多発性硬化症の症状を悪化させる可能性があるため、まずは炎症を軽減するための措置を講じることが症状の軽減に役立つ可能性があると考えられているようです。

マウスによるこの研究では、小麦に含まれるタンパク質であるアミラーゼ・トリプシン阻害剤(ATIタンパク質)が腸内の炎症を引き起こし、多発性硬化症の症状をも悪化させる可能性があることを発見したそうです。

小麦粉は炎症を引き起こす可能性がある!?

小麦などの穀物にはグルテンが含まれており、人によっては重度の自己免疫反応であるセリアック病を引き起こす可能性があります。

セリアック病の患者は、たとえ少量であってもグルテンを摂取すると免疫系が反応し、痛み、膨満感、腸の損傷を引き起こし、食物からの栄養素の吸収に影響する可能性があると報告されています。

また、米国では約6%の人々がグルテン不耐症を報告しており、これも消化器症状を引き起こしますが、グルテン不耐症はセリアック病ほど重篤になることはほとんどないようです。

問題を引き起こす可能性があるのは小麦に含まれるグルテンだけではありません。

人によっては、小麦に含まれる他のタンパク質が炎症反応やアレルギー反応を引き起こす可能性があり、それは重篤になる可能性があることがわかっています。

現在までのところ、多発性硬化症の症状は、グルテンによるものではなく、同じく小麦に含まれるタンパク質であるアミラーゼ・トリプシン阻害剤(ATIタンパク質)が自然免疫を刺激することにより、その症状を悪化させる可能性があることがわかっているようです。

小麦を含まない食事で多発性硬化症の痛みを軽減?

別の研究では、多発性硬化症患者の参加者を2つのグループに分け、一方は小麦を減らした食事を、もう一方は小麦を含む食事を3か月間摂取してもらったそうです。

その結果、小麦(ATIタンパク質)を減らした食事をとると、参加者の血液中の炎症性免疫細胞が減り、通常の食事のときよりも痛みが大幅に軽減されたと報告されたようです。

今後は、小麦を含む食事、グルテンを含むがATIを含まない食事、ATIを含むがグルテンを含まない食事を比較するさらなる研究が必要であるとも考えられているようです。

この研究だけでは多発性硬化症患者が小麦を避けるべきであるとははっきりとは言えないようですが、今後の研究にも期待が集まっています。

小麦を減らす食事は、多発性硬化症患者だけでなく、ほかの炎症を抱える人にも有効と言われています。

おいしい小麦を減らすことは難しく感じるかもしれませんが、現在は小麦の代わりにお米など別の穀物を使用した食品にも注目が集まっていますので、そのような食品を利用することも試してみたいですね。

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引用文献:

Avoiding wheat could lessen inflammation and alleviate MS symptoms

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