菜食中心のヴィーガンやベジタリアンの食事の注意点
日本でも菜食主義のヴィーガンやベジタリアンを中心とする食事や食生活をする人の数が増えてきており、その分、専門店や市販の食品も多くなってきています。
植物性の食事は、心臓病や2型糖尿病のリスクを下げるなど、多くの健康上の利点も報告されていることも、人気の高まりを助長しているようです。
しかし、すべての植物性の食事が同じというわけではありません。
一部の食習慣は、むしろ健康に害をもたらす可能性もあるようです。
どのような食品を選べば良いか、どのような食品は避けるべきか、ヴィーガンやベジタリアンの方も、またそうでない方にも参考にしていただきたい情報をシェアします。
ビーガンとベジタリアン
ビーガンの食事は、すべての動物性食品を食べずに植物性の食品だけを食べる食事方法です。
肉と魚だけを除外するベジタリアンの食事法では、乳製品や卵も食べる人が多いようです。
植物を中心とする食事は、何十年にもわたる科学的な研究により、血中コレステロールや血糖値の改善がみられることが期待されています。
それ以外にも健康上の利点が多いとの報告が増えているため、世界中で人気が高まり続けています。
さらに、温室効果ガスや土壌の劣化、過剰な水など、動物の飼育による環境への影響に対する意識の高まりも、より環境にやさしい植物性の食事を選択する理由の一つとなっているようです。
ただし、すべての植物性の食事が同じというわけではないようです。
特に「ジャンク」とも称される野菜食品には、健康への悪影響の可能性が考えられるようです。
ジャンク・ベジ・フードと健康への影響
・「ジャンク」ベジフードとは
定義上、ジャンク・ベジ・フード(超加工食品)とは、最小限の自然食品を含むものの、カロリーが高く、砂糖、塩、脂肪が追加され、栄養価がほとんどなく、安価な工業用添加物で加工された食品のことを指すようです。
植物由来の製品であったとしても、次のような食品は「ジャンク」食品と定義される可能性があります。
-精製されたパン、ケーキ、クッキー
-炭酸飲料
-包装済みスナック
-乳製品飲料
-朝食用シリアル
-エナジーバー
-インスタントソース、スープ、めん鍋、デザート。
・健康リスク
超加工食品は、利便性を優先して作られた食品です。
最近では自然食品に取って代わり続けており、多くの人々の1日あたりのカロリー摂取量の半分以上を占める場合もあるほどだそうです。
健康的でバランスの取れた植物ベースの食事を求める方も増えてきていますが、その一環として植物ベースの超加工食品を頻繁に摂取することにより、健康への悪影響をもたらす可能性もあるようです。
たとえば、2019年の研究では、105,159人の成人を5年間追跡したところ、超加工食品の消費がわずか10%増加しただけでも、心臓病や脳卒中のリスクが高くなることが観察されました。
このような超加工食品の消費は、少量の増加であっても、がんを発症するリスクの増加とも関連しているようです。
さらに、超加工食品が豊富な植物ベースの食事をとると、カロリー摂取量がより高くなると報告されています。
ジャンク・ベジ・フードを食べることにより、体重増加につながり、肥満を発症する可能性が高くなる可能性があるかもしれません。
また、自然な食品ではなく超加工食品を食べ続けると、ヴィーガンやベジタリアンの食事においては栄養不足をより一般的にする可能性があります。
いくつかの研究では、ヴィーガンやベジタリアンは、鉄、ビタミン B12、カルシウム、ビタミン D、オメガ 3 脂肪酸などの栄養素の摂取量が少ないことが示されています。
さらに、2022年の調査によると、菜食主義者の女性は、時々肉を食べる女性と比較して、股関節骨折のリスクと発生率が高いことが示されました。
これらのことから、ベジタリアンやビーガンの食事において動物性の肉や魚が排除されていることから、鉄分やビタミンB12が豊富な肉、およびカルシウムなどが不足する可能性が危惧されています。
これらの栄養源を果物、野菜、ナッツ、および豆類に置き換えず、代わりに超加工食品を食べることによって、栄養不足はますます悪化する可能性があります。
まずは健康的な食事方法に従うことが、心臓病、糖尿病、および癌のリスクを管理するために不可欠であることに注意することが重要です。
バランスの取れた植物ベースの食事を食べる方法
バランスの取れた植物性の食事を食べ続けるのに役立つためのヒントには、次のようなものがあります。
-超加工食品を制限する
塩分、糖分、脂肪を多く含む植物ベースの超加工食品は制限し、いただく場合も少量にとどめることが大切です。
特に、大豆ミートなどの肉の代替製品は、ナトリウムと飽和脂肪が多いことが多いため、低ナトリウムで低脂肪の商品を選択するように心掛けたほうがよさそうです。
栄養表示を読むことを習慣とし、パッケージの表示に留意することがおすすめです。
砂糖、塩分、脂肪の含有量を確認し、添加物の少ないものを選舞踊にすることが大切です。
また、カルシウムなど有益な栄養素を多く含む食品を選択することもよいかもしれません。
-タンパク質の摂取に留意する
ヴィーガンやベジタリアンの方は、特にタンパク質の摂取に留意が必要です。
肉は精製されたり高度に加工された炭水化物が主体の食品に置き換えられている可能性があるようです。
そのため、炭水化物を控える必要のある方などは、この点にも注意が必要です。
-栄養不足に留意する
一般的に肉や魚から摂取できるはずのカルシウム、鉄、 ビタミンD、ビタミンB12などは、菜食主義者には不足している場合があります。
欠乏を避けるために、適宜栄養補助食品を摂取することも、健康を助けることにつながるかもしれません。
まとめ
植物ベースの食事は、血中コレステロール、血糖値の改善、心臓病、糖尿病、癌、肥満のリスクの軽減など、健康上の利点のために世界中で人気が高まっています。
しかし、「ジャンク」野菜食品や超加工食品 は、自然食品に取って代わり続けており、健康への悪影響が懸念されています。
さらに、菜食主義者や完全菜食主義者は、動物性食品を除外するため、鉄、カルシウム、ビタミンD、ビタミンB12などの栄養が不足する可能性があります。
ジャンク・ベジ・フードをなるべく制限しながら、できるだけ栄養が豊富な食事にを意識することが健康への近道と言えそうです。
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引用文献:
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