がん予防のために毎日の食事で意識したいこと
がん予防に良い食べ物と聞くと、ブロッコリーやトマト、緑茶など、特定の食品を思い浮かべる人も多いかもしれません。
テレビやインターネットでも、ある食品に含まれる成分ががん細胞に働きかけるといった研究結果が紹介されることがあります。
しかし、実験室で確認された成分の働きと、私たちが毎日の食事でその食品を食べたときの効果は、必ずしも同じではありません。
現在、がん予防について比較的確かな研究結果が示されているのは、特定の食品を大量に食べることよりも、食事や生活習慣全体を整えることです。
では、毎日の食卓では、具体的にどのようなことを意識すればよいのでしょうか。
がん予防は特定の食品だけでは考えられない
がんは、遺伝的な要因や感染、喫煙、飲酒、食生活など、さまざまな要因が関係して発生する病気です。
そのため、どれほど健康的な食生活を送っていても、がんになる可能性を完全になくすことはできません。
一方で、長年の研究によって、生活習慣を見直すことで一部のがんのリスクを下げられることもわかってきました。
国立がん研究センターは、日本人を対象とした研究をもとに、禁煙、節酒、食生活、身体活動、適正体重の維持という5つの生活習慣に、感染対策を加えた「日本人のためのがん予防法」を紹介しています。
食生活はその重要な要素ですが、食事だけに注目するのではなく、生活習慣全体を考えることも大切です。
加工肉や赤肉の食べすぎに注意
食事とがんの関係で、特に研究が進んでいるものの一つが、肉の摂取です。
世界がん研究基金は、ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉の摂取が、大腸がんの原因になるという強い科学的根拠があるとしています。
また、牛肉や豚肉、羊肉などの赤肉についても、摂取量が多いことと大腸がんとの関係が報告されています。
ただし、肉にはたんぱく質や鉄、亜鉛などの栄養素も含まれているため、肉を一切食べないようにする必要はありません。
例えば、毎朝ベーコンやソーセージを食べている場合は、卵や納豆、魚などに置き換える日を作る方法があります。
夕食も、肉料理ばかりに偏らず、魚や大豆製品などを組み合わせることで、肉の制限を検討しながら食事の幅を広げることができます。
日本人の場合は日本に合った食性があり、それは世界でも同じであることが考えられていますので、理にかなっているといえるのではないでしょうか。
飲酒とがんの関係
お酒は適量なら健康に良いという話を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、がん予防という観点では、飲酒量が増えるほどリスクが高まることがわかっています。
国立がん研究センターによると、飲酒は肝がん、食道がん、大腸がん、頭頸部がんなどのリスクを高める要因です。
また、女性では乳がんとの関係も指摘されています。
飲酒によって体内で作られるアセトアルデヒドは、発がんに関わる物質として知られています。
日本人を含む東アジアの人々には、アセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱い体質の人もいます。
お酒を飲むと顔が赤くなりやすい人は、特に注意が必要です。
がんのリスクを減らすという観点では、飲酒量を減らすこと、飲まない日を増やすこと、飲酒習慣がなければ新たに始めないことが大切です。
野菜や果物を毎日の食卓に
野菜や果物には、食物繊維やビタミン、ミネラルの他、さまざまな植物由来成分が含まれています。
国立がん研究センターは、日本人を対象とした研究から、野菜や果物の摂取によって食道がんのリスクが低下することがほぼ確実であるとしています。
また、胃がんや肺がんのリスクが低くなる可能性も報告されています。
ただし、特定の野菜に含まれる成分だけを大量に摂ればよいというわけではありません。
ブロッコリーやキャベツ、にんじん、ほうれん草など、種類を変えながら食べることが大切です。
朝食に果物を加えたり、昼食に野菜の小鉢を一品選んだり、夕食の汁物を具だくさんにしたりなど、野菜や果物を普段の食事に取り入れやすい方法を考えてみましょう。
和食の塩分にも注意が必要?
日本人が特に意識したいのが、塩分の摂りすぎです。
塩分の多い食事は、高血圧だけでなく、胃がんのリスクとの関係も指摘されています。
味噌汁、漬物、梅干し、干物など、日本の食卓には塩分を多く含む食品も少なくありません。
もちろん、これらの食品をすべて避ける必要はありませんが、組み合わせや食べる量には注意したいところです。
例えば、塩鮭を食べる日は漬物を控える、味噌汁は具だくさんにして汁の量を減らすなど、小さな工夫でも食事全体の塩分を調節できます。
塩分については、一概に摂取量だけではなく、塩自体の質によっても違いがあるのかもしれません。
昔からつくられてきている伝統的な塩と、化学合成されて簡単にできる塩では質の面において差がある可能性はあります。
また、熱すぎる飲み物や食べ物を日常的に摂ることも、食道がんのリスクとの関係が報告されています。
熱いお茶や汁物は、少し冷ましてから楽しむとよいとの報告もありようです。
まとめ
がん予防のための食事では、特定の食品をたくさん食べることよりも、食生活全体を整えることが大切です。
加工肉や赤肉の摂りすぎに注意し、飲酒を控え、野菜や果物、全粒穀物などを普段の食事に取り入れることが、研究結果に基づく基本的な考え方です。
日本の食卓では、魚や大豆製品、野菜などを活用しながら、塩分の摂りすぎにも注意したいところです。
ただし、健康的な食生活だけですべてのがんを予防できるわけではありません。
禁煙や適度な運動、適正体重の維持、必要な感染対策に加え、対象年齢になったら推奨されるがん検診を受けることも重要です。
まずは、毎日の食卓で続けられそうなことから始めてみてはいかがでしょうか。
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参考文献
国立がん研究センター:科学的根拠に基づくがん予防法
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