冬の腎臓・心臓と脱水リスクを理解して水分補給
冬は汗をかくことが少なく、「脱水」という言葉からは遠い季節のように感じられます。
ですが、医学的には必ずしもそうではないようです。
近年の研究では、寒い季節であっても体内の水分バランスが乱れやすく、特に腎臓や心臓といった重要な臓器に負担をかける可能性があることが示されています。
冬に起こりやすい脱水の特徴と、それが腎臓・心臓にどのような影響を与えるのかについて整理します。
冬でも水分を失っている?
冬は汗をかく機会が少ないため、水分補給の必要性を感じにくくなります。
しかし、体は呼吸や尿を通じて常に水分を失っています。
特に寒冷な環境では、体温を保つために末梢血管が収縮し、血液が体の中心部に集まります。
その結果、体は血液量を調整するために尿の排出を増やすことがあります。
これは、寒冷誘発性利尿と呼ばれる生理的反応です。
この反応によって、本人が意識しないまま水分が体外へ排出され、軽度の脱水状態に近づく可能性があるようです。
冬季にみられる「血管内脱水」
2024年に発表された研究では、冬季には血液の濃縮が進みやすく、血管内脱水のリスクが高まることが報告されています。
この研究では、気温が低い時期に血液中の浸透圧や脱水関連指標が上昇しやすい傾向が確認されました。
血管内脱水とは、体全体の水分が極端に不足していなくても、血管内の水分量が相対的に少なくなっている状態を指します。
この状態が続くと、血流が低下し、腎臓や心臓への負担が増える可能性があります。
脱水と腎臓への影響
腎臓は、血液をろ過し、体内の水分や電解質のバランスを調整する臓器です。
脱水状態では腎臓に流れ込む血液量が減少し、ろ過機能に負担がかかります。
これが進むと、急性腎障害のリスクが高まることが知られています。
また、冬は感染症が増える季節でもあります。
発熱や食欲低下が重なると、水分摂取量がさらに減少し、腎機能への影響が大きくなることがあります。
慢性腎臓病を持つ人では、軽度の脱水であっても症状が悪化する可能性があるため、注意が必要です。
また、近年の疫学研究では、気温の低下と腎疾患による死亡率の増加との関連も報告されています。
寒冷環境そのものが腎臓に直接影響するわけではありませんが、血流の変化や脱水、感染症などが複合的に関与している可能性があります。
脱水と心臓への影響
心臓は、全身に血液を送り出すポンプとして働いています。
脱水によって血液量が減ると、心臓は同じ量の血液を送るために、より強く働かなければなりません。
さらに、寒冷な環境では、血管が収縮し、血圧が上昇しやすくなります。
この血管収縮と脱水による血液濃縮が重なることで、心臓への負担が増加する可能性が指摘されています。
気温と心血管疾患リスクの関係を調べた研究では、寒い季節に循環器系のイベントが増える傾向があり、脱水もその一因となりうると考えられています。
冬の脱水を防ぐために意識したい生活習慣
医学研究の結果を踏まえると、冬でも以下の点を意識することが重要であることがわかります。
-喉の渇きを感じなくても、定期的に水分を摂取する
-冷たい水が飲みにくい場合は、白湯や温かい飲み物を利用する
-アルコール摂取時は水分補給を意識する
-体調不良時や発熱時は、特に水分摂取量を減らさない
-高齢者や持病のある方は、周囲が水分摂取を促す
これらは特別な対策ではなく、日常生活の中で無理なく続けられるものです。
外出時には水分補給のための飲料(水)を持ち歩き、少しずつ摂取することがおすすめです。
まとめ
冬は脱水が起こりにくいという印象がありますが、医学的には必ずしも安全な季節ではありません。
寒さによる生理反応や生活習慣の変化によって、気づかないうちに水分不足が進み、腎臓や心臓に負担をかける可能性があります。
季節に関係なく、水分バランスを意識することは、腎臓や心臓を守る基本的な健康管理の一つです。
冬だからこそ、喉が渇く前の水分補給を意識することが、長期的な健康維持につながります。
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引用文献:
Seasonal variation in vascular dehydration risk: insights from the Kobe Orthopedic and Biomedical Epidemiologic (KOBE) study
Associations between short-term exposure to ambient temperature and renal disease mortality in Japan during 1979–2019: A time-stratified case-crossover analysis
Effects of cold and hot temperature on dehydration: a mechanism of cardiovascular burden






