多発性硬化症(MS)は発症のずっと前からサインを出している?
「最近なんだか疲れやすい」「ちょっとしたことでフラフラする」「気持ちが落ち込みやすい」などと感じることはありませんか?
これらの症状は、だれでも日常生活の中で経験することがある症状です。
でも、このような体や心の小さな変化が、重大な病気の始まりを知らせている可能性があるかもしれません。
最近のカナダの研究によると、多発性硬化症(MS)の前ぶれが、発症の10年以上前からすでに体に表れている可能性があることが分かりました。
その研究から報告された文面から少し詳しくまとめて見くことにしましょう。
多発性硬化症(MS)とは?
そもそも論にはなりますが、MS(多発性硬化症)というのは、脳や脊髄といった中枢神経に異常が起きる病気です。
免疫の働きに異常が起きて、自分の神経を間違って攻撃してしまいます。
その結果、手足のしびれ、視力の低下、歩きにくさ、疲れやすさなど、さまざまな症状が出ることが報告されています。
MSの症状は人によって違い、良くなったり悪くなったりをくり返すことも多く、発見や診断が難しい病気でもあります。
発症の何年も前から通院が増えていた!?
研究チームは、約6,800人のMS患者の医療記録を調べ、発症する15年以上前からの健康状態を調べました。
その結果、MSになる人たちは、発症のずっと前から病院に行く回数が増えていたことがわかりました。
通院の症状として多かったのは以下のようなものがあります。
-慢性的な疲れ
-体の痛み
-めまい
-気分の落ち込みや不安
-視力の不調や目の痛み
-手足のしびれ
こうした症状で、かかりつけ医、精神科、眼科、神経内科などに足を運んでいた人が多かったようです。
サインは少しずつ強くなっていた
研究によると、MSの兆候は段階的にあらわれていたそうです。
たとえばある患者さんでは、以下のような変化が見られたようです。
-約15年前~
「疲れが取れない」「なんとなくだるい」といった理由で、かかりつけ医に行く回数が増えていた。
-約12年前~
不安や落ち込みといった心の不調が出はじめ、精神科の受診が目立つようになった。
-約8~9年前~
視力の変化や目の不快感などから、眼科への受診が増えた。また、同様に神経内科への相談も増えた。
-約3~5年前~
症状が強くなり、緊急外来やCT・MRIといった画像検査の利用が増えた。
-発症の1年前~
神経科・眼科・放射線科など、さまざまな診療科に通う人が急増していた。
このように、MSは「ある日突然」起こるわけではなく、体が長い時間をかけて少しずつSOSを出していたことが見えてきたのです。
「なんとなくの不調」をしっかりと受け止める
疲れや気分の落ち込みがあるからといって、誰もがMSになるわけではありません。
研究者たちも、「こうした症状は多くの人に見られるもので、MSだけに当てはまるものではない」と話しているようです。
しかし、だからといって体からの小さなサインを見逃さないようにしましょう。
たとえば、次のように感じる場合はMSを疑っても良いかもしれません。
-いつもの疲れと違う気がする
-最近何度も病院に行っている
-原因がわからない体調不良が続いている
このような場合は、体が何かを伝えようとしているサインかもしれません。
早期発見の利点
MSのような病気でも、「前ぶれ」をしっかりと理解することができれば、次のような対応ができるようになる可能性があります。
-早期発見
-早期治療
-症状の悪化を防ぐ
早く気づくことが病気の未来を変える大きなカギになるのは確かということを、研究が証明しています。
まとめ
なんとなく調子が悪い時でも、「これくらい大丈夫だろう」と思って無理をしてしまう人も多いと思います。
しかしながら、体はちゃんとサインを出してくれていることを忘れないようにしましょう。
何度も同じ不調を感じたり、原因がわからない症状が長く続いたりしたときは、まずは病院で相談してみることをお勧めします。
自分体の変化にいちばん最初に気づけるのは、自分自身です。
気になることは、大切なサインとして受け止めてみることをおすすめします。
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引用文献:
Subtle signs of multiple sclerosis may appear years before onset