クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の特徴と日常生活でできること
クッシング症候群は体内でストレスホルモンと呼ばれているコルチゾールの過剰分泌が原因で発症する疾患で、さまざまな身体的、精神的な症状を引き起こすことが報告されています。
この病気は、副腎の異常や長期間のステロイド薬の使用が原因であり、放置すると深刻な合併症を引き起こすことがあります。
そのため、できる限り早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。
クッシング症候群の原因、症状、治療法について詳しく見ていきます。
クッシング症候群とは?
クッシング症候群は、副腎皮質機能亢進症とも呼ばれ、体内でコルチゾールのレベルが異常に高くなることによって発症する疾患です。
コルチゾールは副腎という腎臓の隣にある小さな腺で分泌されるホルモンで、体のストレス反応や血圧・血糖値の維持、炎症の抑制などを助ける重要な役割を果たしています。
しかし、コルチゾールの分泌が過剰になると、さまざまな症状を引き起こし、健康上の深刻な合併症を招く可能性があります。
クッシング症候群は、主に副腎が過剰にコルチゾールを産生する場合や、他の病気の治療として高用量のグルココルチコイド薬(コルチゾール類似薬)を長期間使用したことが原因で発症します。
過剰なコルチゾールは、体重増加、筋力低下、高血圧、皮膚の薄さやあざができやすくなる、月経不順、精神的な変化などの症状を引き起こすことなどが報告されています。
コルチゾールはまた、ストレスへの反応に関与しており、長期間の高コルチゾール状態は免疫機能を低下させ、糖尿病や骨粗しょう症などの合併症を引き起こすことがあります。
クッシング症候群は女性に多く、男性の約3倍の割合で発症し、特に20歳から50歳でよく見られるようです。
クッシング症候群が疑われる場合、コルチゾールレベルの異常が確認された後、その原因を特定することが治療への重要なステップとなります。
原因の特定によって、適切な治療法が決定され、症状の改善や合併症の予防が可能となります。
クッシング症候群の原因は?
クッシング症候群の最も一般的な原因は、グルココルチコイド(ステロイド)の長期使用です。
このステロイドは、喘息や癌、関節リウマチなどの治療に使われ、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールに似た作用をします。
コルチゾン、プレドニゾン、デキサメタゾンなどが代表例です。
これらの薬は、体内で過剰なコルチゾールと同様の影響を及ぼし、クッシング症候群を引き起こす原因となります。
また、クッシング症候群は、体がコルチゾールを過剰に生成する場合にも発生することが報告されています。
最も一般的な原因は、下垂体腫瘍(非癌性)によるもので、腫瘍が副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の過剰産生を促し、その結果、副腎が過剰にコルチゾールを分泌します。
この場合、「クッシング病」と呼ばれます。
他にも、異常な腫瘍が他の臓器でACTHを産生することや、副腎自体に腫瘍ができてコルチゾールを過剰分泌することがあります。
クッシング症候群の症状
クッシング症候群の症状は多岐にわたりますが、以下のような症状が良く見られるようです。
-特に腹部の周りの体重増加: 脂肪が腹部、顔、首周りに集中することが多く、丸みを帯びた体型になります。
-丸みを帯びた顔: 時には「クッシング症候群の月の顔」と呼ばれる特徴的な顔貌を呈します。
-首の後ろにあるファットパッド: 通称「バッファローネック」や「クッシング症候群の首」とも呼ばれる、首の後ろに脂肪が溜まる現象です。
-紫または赤の妊娠線: 主に腹部や胸、脇の下に見られることが多いです。
-あざができやすい: 皮膚が薄くなるため、打撲や圧力であざができやすくなります。
-高血圧: 血圧が高くなる傾向があります。
-高血糖と糖尿病: コルチゾールの過剰が血糖値を上昇させ、糖尿病を引き起こすことがあります。
-筋力低下: 筋肉量が減少し、筋力が低下します。
-骨が薄くなる(骨粗鬆症): 長期間の高コルチゾール状態が骨に影響を及ぼし、骨密度が低下します。
-うつ病や思考の問題: 精神的な影響を受けることがあり、記憶力や集中力の低下が見られることがあります。
-女性の顔の毛が多すぎる(多毛症): 女性において、顔や体に過剰な毛が生えることがあります。
-男性の勃起不全(ED): 男性において、性機能に影響を与えることがあります。
クッシング症候群を治療せずに放置すると、高血圧、糖尿病、骨格骨折、血栓、心臓発作、脳卒中のリスクを高め、感染症にかかりやすくなるなど、健康に深刻な影響を与える可能性があります。
クッシング症候群の治療と日常生活でできること
クッシング症候群は、適切な治療を受けないと生命を脅かすことがあります。
治療法は原因によって異なりますが、グルココルチコイド薬によって発症している場合、医師と相談し、薬の用量を徐々に減らしていくことが必要です。
自己判断で薬を減らすことは非常に危険なので、必ず医師の指導を受ける必要があります。
腫瘍が原因である場合は、手術で腫瘍を取り除くことが治療の一環となります。腫瘍が摘出された後、コルチゾールの過剰分泌が改善されることが期待されます。
また、コルチゾールの分泌を抑える薬(コルチゾール遮断薬)などの内科的治療が行われることもあります。
日常生活でできることとして、ライフスタイルの改善が重要です。
健康的な食事を心がけ、バランスの取れた食生活を送ることが推奨されます。
定期的な運動を行うことで、体重管理や筋力の維持、骨の健康を保つことができます。
特に、骨粗鬆症の予防のためにカルシウムやビタミンDの摂取が推奨されます。
また、血圧が高くなることがあるため、定期的に血圧をチェックし、必要に応じて降圧薬を服用することが効果的です。
転倒や骨折を防ぐために、事故を防ぐための予防措置を講じることも重要です。
クッシング症候群は、早期に診断し、適切な治療を受けることで改善可能です。
そのため、疑わしい場合には早めに医師の治療を受けるようにしましょう。
症状の悪化を防ぎ、生活の質を保つために、医師と協力して治療に取り組むことが大切です。
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