「アトピーマーチ」アトピー性皮膚炎や喘息などの予防や対処法

2023年06月30日

食べ物や食事栄養素と家族の健康

アレルギー性疾患の症状を訴える人の数は年々増え続けているようです。

アレルギー疾患は、乳児期のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーから始まり、その後アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎へと段階的に発症することがあります。

この現象は「アトピーマーチ」と呼ばれています。

アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎などを連続して発症してしまう「アトピーマーチ」について探ります。

アトピーマーチ

アトピーマーチの始まりは、乳児期に起こる皮膚の慢性炎症やかゆみです。

研究では、影響を受けた子供の45%が生後6か月前に、60%が1歳前に、最大85%が5歳前にアトピー性皮膚炎の症状を発症したことが報告されています。

その後、遺伝子や環境などさまざまな要因の組み合わせにより、食物アレルギー、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎へと移行、または重なり合って発症します。

まるで行進するように症状が連なるため、「アトピーマーチ」と呼ばれているようです。

アトピーマーチの原因と考えられているもの

アトピー性皮膚炎は、皮膚バリアの機能不全から発症すると考えられています。

皮膚は、病原体、環境汚染物質、紫外線などの外部刺激に常に立ち向かう必要があります。

そのため、皮膚にはもともとバリア機能が備わっているのですが、皮膚バリアの機能不全により、アレルゲンが損傷した皮膚から体内に侵入して、その後、アレルゲンが血液循環により消化管や気道などに入り、喘息や食物アレルギー、アレルギー性鼻炎の発症を促
進する可能性があるとも考えられているようです。

アトピーマーチとマイクロバイオーム

体内に棲む微生物は腸内だけでなく、皮膚や気道にも定着し(マイクロバイオーム)、全身の健康に影響を与えていると考えられています。

研究により、このような微生物叢の変化が、アトピー性疾患に影響を与えていることを示唆しています。

いくつかの研究では、腸内微生物によって分泌された短鎖脂肪酸によってアトピー性疾患を緩和する可能性があることを示しているようです。

このことから、腸内環境を整えることがアトピーマーチの緩和につながる可能性があることが考えられそうです。

アトピーマーチの予防

アトピーマーチの予防や対処法について考えられていることには以下のようなことがあります。

-母乳とプロバイオティクス

6ヶ月間の母乳育児は、アレルギー疾患の発生率を低下させる意味でも推奨されているようです。

母乳育児が困難な場合は、アレルギー対策がとられているミルクなどで代用することを検討されると良いかもしれません。

また、研究では生後2年間、乳酸菌ラクトバチルス・ラムノサスを補給すると、アレルギー疾患にかかる可能性が約半分に減少する可能性があることが報告されているようです。

-環境

子供を取り巻く環境は、アレルギー性疾患に大きな影響を与える可能性が高いことがわかっています。

特に、環境中の煙は子供のアレルギー性疾患の発症を促す可能性が高いようです。

タバコの煙、ダニ、花粉、ゴキブリ、ペットの毛皮、真菌はなどのアレルゲンへの曝露を避けることで、アレルゲンへの感作を減らすことができると考えられています。

-ライフスタイル

アトピー性皮膚炎の症状は、ぬるま湯入浴や清潔な布製品、無香料の保湿剤の使用などのライフスタイルの変化で緩和または予防できることがあるようです。

クリームや軟膏も症状を抑えるのに役立ちますが、抗生物質やステロイド系の薬は専門家に相談の上、慎重に使うことがおすすめされています。

まとめ

アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎などを連続して発症してしまう状態をアトピーマーチと定義づけられています。

アトピーマーチは、子供のころのアトピー性皮膚炎をきっかけに体のいろいろな部分のアレルゲンの感受性が強くなってしまうことから引き起こされると考えられています。

アトピーマーチは腸内環境を整えることや、アレルゲンへの暴露を避けることなどで対応できる可能性があり、日々研究が進められています。

関連記事:
アトピー性皮膚炎に影響を与える腸皮膚軸とは?
アトピー性皮膚炎の予防と治療における腸内微生物叢やプロバイオティクスの相互作用
アレルギー喘息予防におすすめ

問い合わせる

引用文献:
PubMed
Managing atopic dermatitis and asthma

オンラインショップ