適度なアルコールに健康上の利点はあるか?

2023年01月04日

食べ物と食事で健康的な栄養素

適度なアルコールは体に良い、と言われがちですが、これは本当なのでしょうか?

アルコールを過度に飲むことのリスクは、考えられる利益を上回る可能性があるかもしれません。

飲酒習慣や適度な飲酒によって考えられる健康上の利点やリスクと、それにまつわる情報をお伝えします。

適度な飲酒とは

「適度な飲酒」とよく言われますが、どのくらいの量が適度なのでしょうか?

厚生労働省の示す「飲酒のガイドライン」によると、節度ある適度な飲酒は1日平均純アルコールで20g程度のとあります。

20gとは大体「ビール中ビン1本」「日本酒1合」「チューハイ(7%)350mL缶1本」「ウィスキーダブル1杯」などに相当するとのことです。

また、一般に女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅いため、女性の飲酒量は男性に比べて少なくすることが推奨されています。

さらに、65歳以上の高齢者は、さらに抑えた量の飲酒が適当であるとされています。

ただし、ガイドラインは現在飲酒していない人が飲酒を開始することを推奨していません。

こうした中で、適度な飲酒が体に良い理由はあるのでしょうか?

アルコールの利点!?

英ヘルスラインメディア社のMedical News Todayによると、アルコールは以下のいくつかの健康状態を発症するリスクを軽減する可能性があるとされています。

-心血管疾患
2020年の信頼できる情報によると、少量および中程度のアルコール消費量は心血管疾患の予防に役立つ可能性があるとのことです。

ビールやワインなどの発酵アルコール飲料には、レスベラトロールなどのポリフェノールが含まれています。

ポリフェノールには抗酸化作用と抗炎症作用があり、専門家はこれらを心血管疾患を含むいくつかの疾患の発生率の低下と関連付けているようです。

逆にアルコールを過剰に摂取すると、心筋症や不整脈など、他の心臓関連の状態を引き起こす可能性があり、さらに脳卒中に至る可能性もあるため、飲酒量には十分注意が必要です。

-2型糖尿病
2型糖尿病は、体の細胞が血液からブドウ糖または糖を取り込む量が少なくなり、血糖値が高くなります。

米国糖尿病協会によると、適度なアルコール摂取は、血糖管理とインスリンに対する感受性を改善する可能性があるとのことです。

2015年の記事では、適度なアルコール摂取と2型糖尿病のリスクの低下が関連付けられているようです。

-認知症
2017年のメタ分析によると、適度なアルコール消費量 (1 日あたり 12.5 グラム以下) と認知症のリスクの低下との関連性が見つかったようです。

しかし、同じ分析によると、過度の飲酒 (1 日 38 グラム以上) は、反対に認知症を発症するリスクを高める可能性があるとのことで注意が必要です。

飲酒のリスク

上記では適度なアルコール摂取の利点となる可能性のある情報をお伝えしましたが、言うまでもなく長期または過度のアルコール摂取による悪影響は、これらの利点を上回ることが想定されます。

過度の飲酒は、次のようなさまざまな健康問題と関連しています。

-アルコール中毒
-さまざまな種類のがん
-記憶と学習の困難
-高血圧
-心房細動
-肝疾患と消化器系の問題
-免疫系の問題
-うつ病や不安の増幅

また、アルコールには利尿作用があります。これにより下記のような問題が生じる可能性もありそうです。

-肌の乾燥

-髪の乾燥や健康への問題
2022年のレビューでは、アルコール消費が円形脱毛症の免疫学的リスクと関連している可能性があることを示唆しているようです。

米国皮膚科学会によると、次のような栄養素を十分に摂取しないと、脱毛を経験する可能性があります。

-歯の問題

2017 年の調査によると、アルコール依存症の人は、そうでない人よりも齲蝕や歯周炎などの歯の問題の有病率が高いことがわかったようです。

同様に、2017年の別の研究では、アルコール依存症の人は歯科および歯周病のリスクが高いことがわかったとの報告もあります。

リスクを軽減する方法

生活習慣を変えることで、リスクを減らすことが可能かもしれません。

その為には、カラダをサビから守る抗酸化物質がおすすめされるようです。

抗酸化物質は、次のような食品や栄養素から摂取できます。

-野菜と果物
-ビタミンC、ビタミンE
-セレン
-ベータカロチン
-リコピン
-ルテイン

また、アルコールを減らす工夫には以下のようなことが挙げられます。

-飲み物を制限する
-もっとゆっくり飲む
-飲みながら食事をする
-アルコール飲料を水または他のノンアルコール飲料と交互に飲む

アルコールは、摂取しないに越したことはありません。

お付き合い上、飲酒の機会が多い方も多いかと思いますが、摂取する場合は、上記のようなことに留意しながら楽しくいただきたいですね。

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引用文献:

Is alcohol good for you?
厚生労働省 飲酒のガイドライン

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