誰にでも起こり得る自己免疫性の神経疾患ギラン・バレー症候群とは?
ギランバレー症候群は、ある日突然、手足に力が入らない、歩きにくい、顔が動かしにくいなどの症状が出てくることのある、自己免疫が関わる神経の症状です。
日本でも年間1,000~2,000人ほどが発症するとされ、けして珍しい病気ではありません。
多くの場合、風邪や胃腸炎などの感染症のあと1~3週間して発症することが多く、誰にでも起こりうる症状と言えます。
名前が難しく、ニュースなどで重症例が紹介されることもあるため、怖い病気という印象を持たれやすいのですが、実際には治療方法が進歩しており、適切な治療を受けることで多くの方が回復すると言われています。
ギランバレー症候群の基礎知識を整理していきたいと思います。
ギランバレー症候群とは?
ギランバレー症候群は、自己免疫疾患の一種です。
自己免疫によって末梢神経が障害されることで、全身の筋力低下やしびれが徐々に進む病気です。
自己免疫とは、体を守るはずの免疫反応が誤って自分自身の神経を攻撃してしまう状態を指します。
特に障害が起きる可能性があるのは、末梢神経と呼ばれる、脳や脊髄から手足・筋肉へ動く命令を伝えたり、感覚情報を伝えたりする神経です。
病気が進行すると、以下のようなことが起きることが報告されています。
-足先・手先のしびれ
-足に力が入らず立ちにくい
-階段が上がりづらい
-手がうまく動かない
-進行すると呼吸筋が弱くなり息苦しさが出ることも
多くの場合、症状は数日から2週間程度で進行し、ピークに達します。
そして発症から4週間以内に進行が止まるという特徴があり、これが他の神経疾患との大きな違いです。
感染との関係
ギランバレー症候群は、ある特定の菌やウイルスの感染がきっかけで発症することがあります。
特に有名なのが カンピロバクター腸炎(鶏肉に多い細菌)で、他にも風邪、胃腸炎、インフルエンザ、サイトメガロウイルスなどのあとに発症しやすいことが知られています。
これは、海外の医学レビューでも指摘されています。
病原体と神経の構造が似ているために、免疫が病原体を攻撃するつもりで神経までも攻撃してしまうという考え方のようです。
すべての人に起きるわけではありませんが、免疫の反応の仕方には個人差があり、体質との関連も示唆されています。
ギランバレー症候群の症状
ギランバレー症候群の症状は徐々に進むのが特徴で、典型的には以下の順番で現れるようです。
-足のしびれ、足が重い感じ
-歩きにくい、段差につまずく
-手の力が入りづらい、箸が持ちにくい
-顔面神経が障害され、表情が作りにくい
-重症例では呼吸筋の低下により息苦しさが出ることもある
すべての人が重症化するわけではなく、研究によると、呼吸管理が必要な重症例は全体の約20~30%程度と報告されています。
軽症で済むケースも多く、歩行が保てるまま治療に入れる方も少なくないようです。
診断と検査、治療と回復
ギランバレー症候群の診断には、症状の経過と神経学的診察が最も重要です。
そのうえで、次のような検査が用いられます。
-髄液検査:タンパクが上昇し、白血球が正常という特徴(蛋白細胞解離)が出やすい
-神経伝導検査:神経の伝わり方を調べ、脱髄(神経の被膜が障害される状態)を確認
-血液検査:特定の抗体(抗ガングリオシド抗体)が陽性のこともある
また、海外学会のガイドラインでは、進行の速さや対称性の筋力低下、反射の低下などが重要な診断ポイントとされています。
現在行われている代表的な治療は、免疫グロブリン療法と、血漿交換療法という2つの方法です。
どちらも、自己免疫の暴走を抑える目的で行われ、治療効果は確立しています。
発症早期に始めるほど回復が早く、後遺症も少なく済む傾向があるそうです。
海外のレビューでは、治療後6か月で約70~80%が歩行を回復するとされ、完全回復に至る例も少なくありません。
ただし、しびれや疲れやすさがしばらく残る人もおり、リハビリが非常に重要です。
再発や予防について
ギランバレー症候群は多くの場合、一度きりで終わる病気です。
再発は全体の2~5%程度と低く、過度に心配しすぎる必要はないようです。
ギランバレー症候群の予防法は確立されていませんが、一般的には以下が推奨されます。
-食中毒(特にカンピロバクター)の予防
-過労や極端な免疫低下を避けること
-感染症からの回復期に無理をしないこと
まとめ
ギランバレー症候群は、突然の筋力低下やしびれを引き起こす自己免疫性の神経疾患です。
風邪や胃腸炎などのあとに起こることが多く、急速に進行するため注意が必要ですが、早期治療で多くの方が回復します。
必要以上に不安を抱えず、正しい知識を持つことが大切です。
理解することで、もし周囲に発症した方がいても、冷静にサポートできる力になるのではないでしょうか。
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引用文献:
Guillain-Barré syndrome






