食べることを楽しむ、ポジティブ・ニュートリションという考え方とは?
健康のために食生活を整えようとすると、どうしても、控えるべきものに目が向きがちです。
「甘いものは我慢」「脂っこい料理は避ける」「塩分を減らす」など、留意されている方も多いのではないでしょうか。
確かに大切な点ではあるのですが、続けているとストレスにつながったりすることもあります。
そこで最近の研究で注目されているのが「ポジティブ・ニュートリション(Positive Nutrition)」という考え方です。
これは、食べてはいけないものを中心にするのではなく、「心も体も満たされる食べ方」をどう増やしていけるかと言う考え方です。
ポジティブ・ニュートリションについて詳しくお伝えします。
ポジティブ・ニュートリションの取り入れ方
ポジティブ・ニュートリションの具体的な取り入れ方をご紹介します。
1. 言葉をポジティブに変える
たとえば、「塩分を控える」より「ハーブやスパイスで香りを楽しむ」と表現してみる。
「揚げ物を減らす」より「旬の野菜をカラフルに食べる」と言い換えてみる。
このように言葉を少し変えるだけで、取り組み方の気持ちも楽になり、前向きに取り組むことができるようになります。
2. 見た目や香りを大切にする
同じ野菜でも、切り方を変えたり、盛り付けを工夫したりするだけで食卓の印象は変わります。
彩り豊かな料理は、栄養だけでなく、食欲も刺激してくれます。
3. 仲間と一緒に食を楽しむ
家族や友人と一緒に食べるご飯は、それだけで特別な時間になります。
また、料理をシェアすることで、健康的な選択が自然と広がることも魅力の一つです。
4. 新しい食材にチャレンジする
見慣れない豆類や全粒粉、ハーブなど、普段の食事に少し新しい食材を加えてみるのもおすすめです。
新しい発見を楽しむこと自体が、ポジティブ・ニュートリションの実践といえます。
毎日の生活に取り入れるヒントとしては、次のようなものがあります。
-野菜や果物を3色以上使った料理を1日1回作ってみる
-新しいレシピに挑戦して楽しを優先する日を週に1回設ける
-SNSや写真で、彩り豊かでおいしそうな健康食を共有してみる
-「食べ過ぎた」と罪悪感で苦しむのではなく、「今日は〇〇を取り入れられた」と自分を褒める
こうした小さな工夫が、日々の食事をポジティブに変えてくれます。
ポジティブ・ニュートリションのチカラ
「食べてはいけないものを減らす」よりも「食べたい・おいしい」と感じられるものを増やす方が、行動は長続きしやすいことが研究で報告されています。
人は「禁止」や「制限」を強く意識すると、かえってストレスや反動が生まれやすいことが、心理学でも証明されています。
例えばダイエットをしている人が「甘いものを絶対に食べてはいけない」と思うと余計に食べたくなってしまうのと同じで、制限は逆効果になることがあります。
一方で、「果物を毎日1種類プラスしよう」といった前向きな提案は、達成感を生み、自然に続けやすくなるのです。
また、周囲の環境が後押ししてくれると、ポジティブな選択はもっとラクになります。
スーパーやコンビニで健康的な食材が手に取りやすい場所に並んでいたり、食堂で彩り豊かな定食メニューがそろっていたりすると、健康的な選択をする意識がなくても自然に手が伸びます。
このように、「選びやすい・おいしそう・楽しい」と感じられる仕組みをつくることは、食習慣の改善に大きな効果をもたらします。
実際に研究でも、環境を少し変えるだけで、野菜や果物の摂取量が増えたり、塩分や脂質の取りすぎが抑えられたりすることが確認されています。
つまり、ポジティブ・ニュートリションは「単なる気分転換」ではなく、行動科学と栄養学の両面からサポートされたアプローチなのです。
無理な我慢や制限に頼るよりも、楽しく・選びやすく・前向きに工夫することこそが、長期的な健康につながります。
まとめ
ポジティブ・ニュートリションは、我慢や制限を強いるのではなく、どうしたら食をもっと楽しめるかに視点を向ける考え方です。
小さな楽しみを重ねていくことで、心と体の健康を自然にサポートしてくれるのではないでしょうか。
早速今日の食卓に、ひとつでも、楽しみの工夫を加えてみるのはいかがでしょうか?
その積み重ねが、健康を育ててくれると思います。
参考文献
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引用文献:
Positive nutrition: shifting the focus from nutrients to diet for a healthy lifestyle.






