双極性障害の躁(そう)・うつ症状を和らげる可能性のある食品
双極性障害などの精神疾患において躁(そう)とうつの症状は一般的なものです。
現在のところ、躁やうつそのものを完全に治す薬や方法は見つかっていません。
しかし、日々の食事内容が気分や感情に与える影響は大きいものと考えられています。
適切な栄養を取り入れることで、症状の緩和や再発防止に役立つ可能性があります。
躁(そう)とうつの症状に良いとされる食品や、避けたほうがよい食品などついて探ります。
躁と鬱とは?
そもそも、躁とうつの状態とはどのようなものなのでしょうか。
躁状態では、異常なほどの高揚感や多幸感を感じ、エネルギーにあふれた状態になる状態です。
話し続けたり、ほとんど寝なくても元気でいられる反面、衝動的な行動や怒りっぽさも出やすくなります。
一方で、うつ状態では一転して無気力になり、希望を見失ったような感覚、興味の喪失、倦怠感などが強く現れるようです。
これらの状態は交互に現れることが多く、日常生活に大きな支障をもたらす場合も少なくないようです。
食事と気分の関係
最近では、食事とメンタルヘルスの関係が注目されており、「脳に良い食事」が多くの研究で取り上げられています。
特定の栄養素には、気分の安定やストレスの軽減、脳の機能改善に役立つものがあると報告されています。
それでは、具体的にどのような食品が躁・うつの症状に役立つと考えられているのでしょうか?
見ていきたいと思います。
症状の緩和が期待できる食品
1. オメガ3脂肪酸を多く含む食品
オメガ3脂肪酸は、体の中で炎症を抑える作用があり、脳の神経伝達にも関与しています。
一部の研究では、オメガ3がうつ症状の改善や、双極性障害の症状の安定化に役立つと報告されています。
・オメガ3脂肪酸を多く含む食品例:
-サーモン、サバ、イワシなどの青魚
-フラックスシード(アマニ)、チアシード
-くるみ
-大豆油、カノーラ油
-オメガ3強化のヨーグルトやジュースなど
これらを定期的に取り入れることで、脳の健康をサポートし、気分の安定につながる可能性があります。
2. 葉酸(ビタミンB9)を含む食品
葉酸
は神経系の働きをサポートし、セロトニンなどの神経伝達物質の合成にも関わっています。葉酸が不足すると、うつ状態が悪化する傾向があるという研究もあります。
・葉酸が豊富な食品例:
-オレンジやレモンなどの柑橘系果物
-ほうれん草、アスパラガス、芽キャベツ、からし菜
-牛レバー
-葉酸強化のパン、米など
朝食などに葉酸を意識的に取り入れることで、気分の落ち込みを予防できるかもしれません。
3. ダークチョコレート
ダークチョコレートには、気分を高揚させる天然の成分が含まれています。たとえば、アナンダミドという物質は“自然な多幸感”をもたらすといわれています。
また、チョコレートに含まれるフラバノールという抗酸化物質には、脳の炎症を抑え、認知機能を保つ働きがあります。
ただし、砂糖の多いミルクチョコレートではなく、カカオ70%以上のダークチョコレートを選びましょう。
毎日少量を楽しむことで、気分が少し明るくなる効果も期待できます。
4. トリプトファンを含む食品
トリプトファンは、睡眠や感情のコントロールにも深く関与しています。
幸福ホルモンとも呼ばれるセロトニンの材料になるアミノ酸で、体内では合成できないため、食事からの摂取が必要です。
・トリプトファンを含む食品例:
-牛乳、ヨーグルト、チーズ
-鶏肉
-卵
-マグロなどの魚
-大豆製品(納豆、豆腐など)
夕食に取り入れることで、質の良い睡眠や心の安定に繋がる可能性もあります。
5. プロバイオティクス(発酵食品)
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、腸内環境が精神状態に大きく影響することがわかってきました。
腸内の善玉菌はセロトニンの分泌や、ストレスへの耐性に関係しています。
・プロバイオティクスを含む食品:
-ヨーグルト
-キムチ、ぬか漬け、ザワークラウト
-味噌、テンペ、納豆
-ケフィア、コンブチャ(発酵紅茶)
発酵食品を毎日の食事に少しずつ取り入れることで、心と腸のバランスが整い、気分の安定に役立つと考えられています。
避けるべき食品
躁やうつの症状を悪化させる可能性のある食品もあります。以下のような食品は、なるべく控えるようにしましょう。
-アルコール:うつを深める作用があり、脱水症状や睡眠の質の低下にもつながる
-白砂糖・精製炭水化物:血糖値を急激に上下させ、情緒の不安定や不安感を引き起こす
-カフェイン:特に躁状態のときに摂取すると、不眠や焦燥感を悪化させる可能性がある
また、これらの食品は体重増加や代謝の乱れにもつながり、結果として治療の効果を下げることもあることが報告されています。
それと、上記に挙げた食品群にアレルギー反応がある場合は、それらの食品は避けることがおすすめです。
まとめ
現在の医学では、躁とうつを完全に治すことはできませんが、適切な食事によって症状を緩和することは可能です。
特に、オメガ3脂肪酸、葉酸、発酵食品、トリプトファンなどは、脳や神経に良い影響をもたらします。
一方で、アルコールや砂糖、カフェインのように、逆に症状を悪化させるリスクのある食品もあります。
自分の状態をよく観察しながら、「この食品を食べると気分がどう変化するか」を記録していくと、より自分に合った食事法が見つかるのではないでしょうか。
関連する記事:
うつ病や不安症とグルテンフリーの関係
うつ病や不安症のハーブなどの自然療法や食べ物と食事
高脂肪食は腸内細菌を破壊し不安を助長する可能性がある?
お問い合わせはこちらから
受付時間 am9:00-pm5:00/土・日・祝日除く