肺などの呼吸器のの炎症とオートファジー

2021年10月11日

食べ物と食事と健康で医療予防

誰もが病気にはかかりたくないと願っています。

ですが、病気とは、正確に言うと体内の各部分の炎症の結果であることが報告されています。

炎症は、様々な疾患の原因となります。

例えば、呼吸器疾患やアルツハイマー型認知症、がんや心血管トラブルなどはすべて体内の炎症の結果であることがわかっています。

加齢による体内の炎症を防ぐにはどのような方法があるでしょうか?

そのヒントは、オートファジーにもあるようです。

・オートファジーとは

オートファジーは、細胞内にある誤った形に折りたたまれたタンパク質や、古くなり損傷した小器官などの不要なものを除去するために自動で発動する生物学的メカニズムといえます。

細胞が自分自身を食べることにより発動するため、自食とも呼ばれています。

細胞の改修を行い、新しい細胞を生成する動的リサイクルシステムとして機能します。

オートファジーは、体内の炎症の調節や、免疫系機能において大変重要な位置を占めていることが報告されています。

・オートファジーと呼吸器疾患

肺疾患、喘息および肺線維症を含む多数の慢性肺疾患の病因の根底には、呼吸器内における持続的な炎症があります。

肺の慢性炎症は、微生物への暴露、大気からの粒子、汚染物質、アレルゲンなど、遺伝的な要素とと環境からの影響の組み合わせから生じることがあります。

このような炎症をはじめとして、オートファジーは他の多くの呼吸器疾患の発症にも関与しています。

さらに、オートファジーは、免疫機能を持つ免疫細胞または他の細胞における自然免疫応答において中心的な役割を果たしていることがわかっています。

慢性肺疾患における肺の炎症反応を調節するのもオートファジーの役割の一つです。

・新型コロナウイルスとオートファジー

このようにオートファジーは、呼吸器疾患や免疫にも対応し得るメカニズムということがわかります。

ご存じのとおり、新型コロナウイルスは今では代表的な呼吸器疾患の一つとなっており、その主たる対応方法は現在のところ免疫力です。

そのため、オートファジーは新型コロナウイルスにも大変関わり合いの強いものといえそうです。

・オートファジーの活性化

オートファジーは基本的に自動で発動するメカニズムですが、研究の結果、何も食べない飢餓状態が続くことにより発動することがわかっています。

飢餓状態により、細胞がいらない細胞を食べることがオートファジーの仕組みです。

ただし、慣れていない方の場合はやみくもに食事を抜くことは控えることをおすすめします。

オートファジーによる栄養飢餓の回避は、あくまで一時的なものであり、飢餓状態が長く続いた場合には対処することができないとされています。

オートファジーが過度に行われると、細胞が自分自身を食べ尽くしてしまい、細胞が死に至ると考えられています。

オートファジーを活性化させることが自在にできるようになれば、寿命の延長やパーキンソン病の改善につながる可能性が動物実験で示唆されているようです。

そうだとすると、それが動物からヒトに転用できるまで、そう遠くはないかもしれません。

まとめ

オートファジーの仕組みは、細胞内で古くなった細胞が新しい細胞に食べられ(自食)生まれ変わることにより、炎症をしずめるメカニズムです。

オートファジーにより、呼吸器の炎症を抑えることが可能ということがわかりました。

オートファジーの活性化を自在に行えるようになることは、医療の現場でも大いに期待されており、研究が進められている分野です。

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引用文献:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32671777/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29130366/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25617802/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32847034/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%B8%E3%83%BC

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