亜鉛不足が味覚だけでなく免疫や皮膚にも影響する理由?
亜鉛は、体内に存在する量は多くありませんが、健康を維持するために欠かせない必須ミネラルの一つです。
近年では味覚との関係で知られることが多く、食べ物の味を感じにくくなったときに亜鉛不足を疑う人もいるかもしれません。
しかし、亜鉛が担っている役割はそれだけではありません。
亜鉛は細胞の成長や分裂、たんぱく質やDNAの合成など、体の基本的な仕組みに幅広く関わっています。
さらに、免疫細胞が正常に働くためにも必要で、皮膚の健康や傷の修復にも関係しています。
亜鉛が不足すると、味覚の変化だけでなく、皮膚や免疫機能など全身に影響が及ぶ可能性があるのはそのためです。
一方で、亜鉛は体内で大量に蓄えておける栄養素ではありません。
日々の食事から適切な量を摂ることが基本になります。
意外と知られていない亜鉛の働きについて見ていきましょう。
亜鉛は体のさまざまな働きを支えるミネラル
亜鉛は、体内の多くの酵素やたんぱく質の働きに関わっています。
新しい細胞を作るためにはDNAの合成や細胞分裂が必要ですが、その過程にも亜鉛が利用されています。
そのため、成長期だけでなく、大人にとっても欠かせない栄養素です。
皮膚や消化管などは細胞の入れ替わりが活発な組織であり、亜鉛不足によって皮膚症状などが現れることがあります。
また、免疫細胞の発達や機能にも亜鉛が必要であることがわかっています。
亜鉛不足が起こる背景も一つではありません。
食事からの摂取不足のほか、消化管から十分に吸収できない状態や、体から失われる量が増えている場合などにも不足することがあります。
日本の亜鉛欠乏症に関する実践的なガイドラインでも、味覚障害だけでなく、皮膚炎、脱毛、食欲低下、免疫機能の低下など、さまざまな症状との関連が示されています。
亜鉛不足で味を感じにくくなるのはなぜ?
舌には「味蕾(みらい)」と呼ばれる味を感じ取る器官があります。
味蕾を構成する細胞は常に新しく入れ替わっており、その正常な働きを維持する過程にも亜鉛が関係していると考えられています。
亜鉛と味覚の関係は古くから研究されており、亜鉛欠乏がある人では味覚障害がみられることがあります。
亜鉛は味蕾だけでなく、味覚情報を伝える神経や脳など複数の段階で味覚機能に関係するとされています。
ただし、味がわかりにくいからといって、必ず亜鉛不足とは限りません。
味覚障害には薬剤、口腔環境、感染症などさまざまな原因があります。
味覚の変化が長く続く場合は、自己判断でサプリメントを大量に摂るのではなく、原因を確認することが大切です。
免疫機能を維持するためにも亜鉛が必要
亜鉛は、体を外敵から守る免疫システムとも深く関係しています。
免疫には、生まれつき備わっている「自然免疫」と、病原体などを認識して働く「獲得免疫」があります。
亜鉛はその両方に関係し、好中球やナチュラルキラー細胞、T細胞、B細胞など、さまざまな免疫細胞の発達や働きを支えています。
亜鉛が不足すると、免疫細胞の形成や活性化などに影響し、正常な免疫反応を維持しにくくなることが研究で示されています。
ただし、亜鉛を多く摂れば免疫力が高くなる、という意味ではありません。
免疫機能には亜鉛以外にも、たんぱく質やビタミン、ほかのミネラル、睡眠、運動など多くの要素が関係します。
亜鉛はあくまでも、正常な免疫機能を支えるために必要な栄養素の一つとして考えることが大切です。
皮膚や傷の修復と亜鉛の関係
皮膚は、外部から細菌や刺激物などが入り込むのを防ぐ重要なバリアです。
皮膚を健やかな状態に保つには、新しい細胞を作り、傷ついた組織を修復する仕組みが正常に働かなければなりません。
亜鉛は細胞増殖やたんぱく質合成などに関わることから、創傷治癒に必要な栄養素としても研究されています。
亜鉛欠乏がある場合には、皮膚の変化や傷の治癒の遅れにつながることがあります。
健康な皮膚を維持するためにも、亜鉛だけに注目するのではなく、たんぱく質やビタミンなどを含めた十分な栄養を摂ることが基本です。
亜鉛不足を防ぐための毎日の食事
亜鉛は牡蠣に多く含まれることで有名ですが、牡蠣以外にも、牛肉や豚肉などの肉類、魚介類、卵、乳製品などにも含まれています。
豆類やナッツ類、全粒穀物など植物性食品からも摂取できます。
さまざまな食品を組み合わせて食べることが、亜鉛だけでなく、体に必要な栄養素を幅広く摂取することにつながります。
一方で、サプリメントを利用する場合は摂り過ぎにも注意が必要です。
亜鉛は不足しても問題になりますが、過剰な状態でも免疫機能などに悪影響を与える可能性があります。
また、長期間の過剰摂取は銅の吸収を妨げ、銅欠乏につながることも知られています。
特定の栄養素を大量に摂るのではなく、日々の食事から必要な量を継続して摂ることが基本です。
食べ物の味を楽しみ、皮膚を健やかに保ち、体を守る仕組みを正常に働かせるためにも、普段の食生活の中で亜鉛を含む食品を意識してみてはいかがでしょうか。
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