グルテン・デトックスの効果とそれを必要とする人とは?
近年、「グルテンフリー」や「グルテン・デトックス」といった言葉を耳にする機会が増えました。
ですが、そもそもグルテンは毒なのでしょうか?
実際にグルテンを体から排出する必要がある人はどのくらいいるのでしょうか?
グルテンと体の関係、グルテンを避けることで得られる効果やリスクについて探ります。
グルテンとは?
グルテンは、小麦・ライ麦・大麦などの穀物に含まれるたんぱく質の一種です。
パンやパスタ、ケーキなどのもちもちした食感を作るのに欠かせない成分であり、多くの加工食品にも使われています。
また、意外にも化粧品やサプリメント、歯磨き粉など非食品にも含まれていることがあります。
「グルテン・デトックス」とは?
グルテン・デトックスとは、グルテンの摂取をやめてグルテンを体から排出することです。
しかし、まず大前提としてグルテンは毒ではありません。
そのため、健康な人がグルテンを必ずしも体から排出する必要は基本的にはないようです。
しかし、グルテンを排出することで健康や美容にとって良い側面があるのは事実のようです。
さらに、特定の病気を持つ人にとっては、グルテンの除去が治療の一環として重要な意味を持ちます。
グルテン除去が特に必要な人
-セリアック病
セリアック病は、グルテンを摂取すると免疫が小腸を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
グルテンに対する強いアレルギー反応を起こし、栄養が吸収できなくなるため、生涯にわたる完全なグルテン除去が唯一の治療法とされているようです。
-非セリアック性グルテン過敏症(NCGS)
この症状は、セリアック病のような抗体反応は見られないものの、グルテンを摂取した後に腹痛や疲労感などの不調を感じるものです。
検査では異常が見られないため、診断が難しいケースもあります。
-皮膚疾患(疱疹状皮膚炎)
疱疹状皮膚炎はかゆみを伴う発疹を引き起こす慢性的な皮膚疾患です。
グルテンとの関連性が高く、セリアック病と並行して発症することもあるようです。
-過敏性腸症候群(IBS)
IBSの人がグルテンを除去して症状が軽減されるケースがあります。
しかし、それがグルテン自体によるものか、他の成分(フルクタンなど)によるものかははっきりしていないようです。
グルテンを除去しても効果がない場合
種類にもよりますが、健康な人がむやみにグルテンを避ける必要はないと考えられています。
むしろ、全粒粉などの穀物は鉄分、ビタミン、食物繊維を豊富に含んでおり、栄養価の高い食品です。
また、グルテンフリー製品の中には栄養が不足しているものもあるため留意が必要です。
グルテン・デトックスを、美容や健康、精神面の改善を期待して実践する人も増えています。
最近では「グルテンフリーで痩せる」と言われることもありますが、実際には高カロリーのパンや菓子類を控えることでカロリー摂取が減った結果である可能性が高いようです。
また、肌の調子を整えることや、気分の安定・うつ症状の緩和にも一定の効果があることが報告されています。
ただし、その効果は人によって異なり、科学的根拠の有無にも差があると見られています。
どれくらいで効果が出るのか?
セリアック病の人は、グルテンを除去してから数日~数週間で症状の改善を感じ始めることが多いようです。
ただし、完全な回復には数ヶ月かかることもあります。
一方で、グルテンに対して明確な感受性がない場合は、グルテンを除去してもあまり変化が見られない場合もあるかもしれません。
医師に相談するタイミング
次のような症状が続く場合は、自己判断でグルテンを除去する前に必ず医師に相談しましょう。
-慢性的な下痢や便秘
-腹部膨満感
-腹痛
-吐き気
-栄養不足による疲労感
なお、セリアック病の検査はグルテンを摂取している状態でしか診断できません。
自己判断でグルテンを除去すると、正確な診断ができなくなる恐れがあります。
まとめ
グルテン除去が必要なのは、セリアック病や一部の過敏症のある人です。
しかし、健康な人にとっても健康や美容に一定の効果が見られることも報告されているため、グルテンデトックスをして様子を見るのは一つの方法かもしれません。
不調がある場合は、まず医師や管理栄養士に相談し、正しい診断と対策を行いましょう。
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