ビタミンDは大腸がんの予防と生存率向上に役立つ可能性?
ビタミンDは、骨の健康に欠かせない栄養素として知られています。
さらに近年の研究により、ビタミンDにはそれ以外にも、大腸がんの予防や生存率の向上に関与する可能性があることが明らかになってきたようです。
ビタミンDと大腸がんの関係について探ります。
ビタミンDとがんの関係
世界的に見て、大腸がんは女性で3番目、男性では2番目に多いがんとなっているようです。
最近のビタミンDが持つ抗がん作用に焦点を当てたレビューでは、50件の研究と130万人以上のデータを解析た結果、血中のビタミンD濃度が高い人ほど、大腸がんの発症リスクが低く、生存率が高いことが示唆されました。
ビタミンDは免疫機能をサポートし、炎症を抑える働きがあることがわかっています。
また、がん細胞の成長を抑え、細胞死を促す作用を持つことも判明しているようです。
ビタミンDが不足している人は、大腸がんのリスクが高まる可能性があるとも言われています。
食事とサプリメントからの摂取
食事によるビタミンD摂取が大腸がん予防に有効とする研究が多数あります。
ある研究では、ビタミンD摂取量が最も多い人は、大腸がんのリスクが25%減少したという結果が出ているようです。
また、サプリメントによる補給も有効な手段の一つと言えます。
転移性大腸がんの患者を対象にした研究では、ビタミンDの補給により、がんの進行が抑えられたことが報告されています。
加えて、ビタミンDの摂取は腺腫やポリープのリスク低下にも関与している可能性があることもわかっているようです。
一方で、すべての研究がビタミンDの効果を裏付けているわけではないようです。
いくつかの研究では、女性における大腸がんのリスク低下との関連が見られなかったり、再発リスクや生存期間に有意差が見ら
れなかったとの報告もあります。
また、BMI(体格指数)や栄養状態によってもビタミンDの効果が変わる可能性があることも指摘されています。
ビタミンDの抗がん作用
ビタミンDの活性型であるカルシトリオールは、以下のような抗がん作用を持つとされています。
-炎症を抑える
-新生血管の形成を阻害し、がん細胞への栄養供給を妨げる
-がん細胞の増殖を止め、細胞死を誘導する
-がんの広がりを防ぐために、細胞の増殖に関わる信号(Wnt/β-カテニン経路)をコントロールする
また、腸内環境の改善や腸粘膜バリアの強化、免疫系の調整にも関与しており、免疫監視機能を高める効果が期待されています。
今後の展望
米国の腫瘍内科医であるワエル・ハーブ医師は、次のように述べています:
「大腸がん患者において、ビタミンDレベルを適切に維持することは免疫の監視機能を支える助けとなり、標準的な治療と併用することで治療成績の向上に寄与する可能性があります。」
「将来的にこれらの知見が前向き臨床試験で確認されれば、ビタミンDの補給は、大腸がん予防の標準的な手法の一部となる可能性があります。」
また、ビタミンDは以下のようなさまざまな生理的役割も担っていることが挙げられています。
–カルシウムとリンの代謝
-神経伝達のサポート
-心血管系の健康維持
-呼吸器感染症リスクの低下
-血糖値の調整
-加齢の影響緩和
ビタミンDは食事(魚、卵、きのこなど)や日光、サプリメントから摂取可能です。
カルシウムや食物繊維の多い食事、適度な運動、適正体重の維持などと合わせることで、大腸がん予防への効果がより期待できるとされています。
レビューによると、体重が標準の成人には1日2,000IUの摂取が最適な最低量とされているようです。
まとめ
ビタミンDは大腸がんのリスクを減らし、治療後の生存率を高める可能性があります。
カルシトリオールによる抗炎症作用やがん細胞の増殖抑制、腸内環境の改善など、さまざまなメカニズムを通じてその効果を発揮すると考えられています。
今後、大規模な臨床試験によりその効果が明確になれば、ビタミンDは大腸がん予防の標準的な戦略の一部として組み込まれる可能性があります。
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引用文献:
Vitamin D may help prevent colorectal cancer, and improve survival