炎症や免疫にかかわる歯周病の意外な危険性とは?
定期的に歯医者で歯のクリーニングをすることは、想像以上に重要かもしれません。
最近の研究では、歯周病がアルツハイマー病、がん、呼吸器疾患などの他の多くの病気の発症に関与している可能性があることが示されています。
歯周病とさまざまな健康問題との間の意外な関連性を取り上げます。
歯周病とその他の疾患との関係
毎日歯磨きをしていても、歯には歯垢が蓄積されます。歯垢は、細菌を含む粘着性物質です。
これが歯に蓄積し、除去されない状態が続くと、細菌によって歯肉に炎症が起こる可能性があります。
その後、歯茎が腫れたり、痛んだり、感染したりすることがあります。 これは歯肉炎と呼ばれます。
歯肉炎を発症したまま放置すると歯周炎を引き起こし、歯を支える構造が弱くなる可能性があります。
それだけではありません。
新しい研究により、歯周病が体の他の部分の炎症を悪化させる可能性があることが明らかになりました。
歯周病や歯周炎では、歯垢中の細菌が免疫系による攻撃を引き起こすことがわかっています。
これにより、炎症が引き起こされると考えられているようです。
研究によると、特に慢性炎症に関与していることが示唆されています。
それによって引き起こされる可能性のある病気には、関節炎、心臓病、糖尿病、がん、呼吸器疾患、認知症などが考えられています。
歯茎と肺と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
歯周病は、新型コロナウイルスの感染にも関連するようです。
口は歯茎と肺への共通の出入り口であるため、歯周病と肺疾患の関連性は、これまでにも検討されてきました。
口の中に存在する細菌が肺に吸い込まれると、肺に直接炎症を引き起こす可能性があります。
そして長期的には、炎症により細胞に変化が引き起こされ、がんが発症する可能性が高まります。
また、ある研究によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も同様に歯周病の影響を受ける可能性があると報告されています。
新しい研究では、歯周病のスクリーニングが、重篤な新型コロナウイルス感染症を発症するリスクが高い人々を特定するのに役立つ可能性があると報告しています。
歯茎と脳
いくつかの研究では、歯周病と認知機能との関連性が発見されています。
歯を失う主な原因である歯周病と虫歯が、認知機能の低下と関連していることがわかっているようです。
また、研究では歯周病はアルツハイマー病の特徴である脳内のベータアミロイドの蓄積の増加と関連があることも示唆されています。
歯茎と心臓病
心臓病と歯周病の間にも、相関関係があるようです。
この関連性には炎症が関与している可能性があると考えられているようです。
歯肉の炎症が連鎖を引き起こし、最終的に心血管系の炎症を引き起こす可能性があります。
歯肉内の細菌は血液に入り、心臓などの遠くの組織に届けられ、そこで炎症や損傷を引き起こす可能性があるためのようです。
歯茎とがん
2008年に発表された研究では、48,375人の男性を対象に歯の喪失とがんを調査しました。その結果、歯周病とがんの間には確かに関連性があると結論付けられたようです。
研究によると、歯周病に関連する細菌の一種であるトレポネーマ・デンティコラによって産生される酵素が、ガンとのかかわりがあることが明らかになったようです。
まとめ
歯周病の細菌によって、心臓病、糖尿病、がん、呼吸器疾患、認知症、新型コロナウイルスなど重要な疾患を引き起こす可能性があることがわかりました。
虫歯でもないのに歯医者に通うことは億劫に感じる方も見えるかもしれませんが、長い目で見ると歯周病と長寿や健康寿命との関係性も見えてきます。
日ごろから歯磨きやデンタルフロスなどに力を入れながら、ときどき歯医者さんでクリーニングをすることを怠らないことが長寿の秘訣となるのかもしれません。
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引用文献:
How is gum disease linked to inflammation, heart disease, cancer?
The unexpected dangers of gum disease