腸内細菌や腸内環境と抗生物質

2014年12月02日

家族と自然

 

あなたの知らない間に体内に抗生物質がたくさん入っているかもしれません。

以前であれば懐疑的だった体内への抗生物質の話が現実味をおびています。

 

抗生物質と食肉:

直近3年間だけで私たちが口に入れる肉類に使用する目的で販売された抗生物質量が16%も増えていることが10月3日のウォールストリートジャーナルに掲載されています。

アメリカ政府機関のFDA(食品医薬局)による報告ですが、2009年から2012年の3年間における調査の結果です。

気になるのはそれらの家畜に投与された抗生物質がどの程度私たちの体内に入って影響を与えるかということです。

報告では私たちが口にする食肉の抗生物質は医学的な観点からすると60%程度は人体に影響を与えていると推定されています。

 

腸内細菌と抗生物質:

アメリカのコーネル大学の発表では私たちの腸に存在する腸内細菌の量が減っていると報じています。

推測では1950年代からアメリカでは既に家畜を早く成長させて肉付きを良くする目的で抗生物質は投与されはじめ、その量は上記のように増加の一途をたどっています。

もちろんそのおかげで世界中でもより多くの人が肉食を食べることができ、まかなえてきているのも家畜が早く成長してくれているからという理屈にたどり着きます。

わたしたちは私たちが口にする食肉の中について無知とも言えますし、知らないところで抗生物質が体内の腸内細菌に与える影響も増えているということになります。

 

腸内細菌と肥満:

アメリカでは10年間で全成人人口のウエストサイズが平均して3センチ太くなっていることが報告されています。

また世界保健機関のWHOの発表では世界の全人口の三分の一は現在肥満と言える状態にあり、その数は2030年までには約50%に到達すると予測しています。

肥満は腸内細菌との関係も深く、コーネル大学の調査では私たちの腸内細菌の数はアマゾンの原住民の三分の二程度にまで減っているとしています。

腸内細菌が減ることが肥満への近道にになるだけではなく、ウィルスや他の感染を引き起こしやすい状況を導くサポートにもなっているといえます。

腸は栄養の消化や吸収だけではなく、体全体の状態に作用し、腸内細菌が最近や異物の侵入を阻止してくれていたり、免疫は腸内で60から70%の影響力を持つということからも推測できることではないでしょうか。

 

食のおすすめ:

上記以外の影響もあって、多くの人は菜食主義をはじめたり、果物ばかりを食べるフルータリアンになったりする現象も起こっています。

とはいえ、一般的な私たちの感覚として、まったく食肉をやめるということも他の栄養素の不足を招いたり、健康管理をするのもそれはそれで大変なことです。

大切なことは私たちが口にする食物と身体に与える影響について少しでも関心や知識を持ち、その上で、抗生物質を出しやすい身体にしたり、腸内細菌の中でも健康や病気予防と深いつながりを持つ善玉菌を増やしたり、普段はどっちつかずな状態の日和見菌を見方にするような食生活を選択することではないでしょうか。

コース料理のように肉をいただく前にはしっかり野菜やあるいは果物をいただくことや、発酵食品を食べたり、加工食品を減らすことも健康管理につながります。

特に欧米諸国の現状とは裏腹に日本では野菜も果物も、魚もお米も摂取量が何年も前から減っていることは腸内細菌にも影響を与えますし、体内に入った抗生物質を排泄する妨げにもなります。

健康寿命と寿命との差を埋めるためにも、10年後の自分の身体を作るのも正しい食事を切り離して考えることはできないことからも大切なことではないでしょうか。

 

 

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