プロバイオティクスと脳と感情

2015年04月02日

プロバイオティクス

 

プロバイオティクスが脳に影響を与えることが近年の研究で報告されています。

プロバイオティクスを摂取することで脳内にある感情を司る域の行動が規制され、いくつかのプロバイオティクスが感情の中でもとりわけ不安、敏感な痛み、ストレスなどを軽減していると2013年に発表されました。

報告されている中から、今回は2つの調査報告をお伝えいたします。

 

1つ目の調査の中では健康的な女性を3つのグループに分け、脳の働きについての変化を観測したものです。

1つ目のグループはプロバイオティクスを含む発酵乳製品を毎日、1日2回、125グラムを12人の女性に4週間にわたり食べたグループで、発酵乳製品の中にはビフィド・バクテリウム・ラクティス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・ラクティスを含んだものです。

2つ目のグループは発酵をしていないいわゆる非発酵乳製品を1と同様に、11人の女性が食べたもの。

3つ目は介入を設定しない13人の女性で脳の反応を観察し、中でも心配やストレス、不安や恐怖を予期する領域関連の反応を観たもの。

 

4週間後にそれぞれの被験者の脳内を比較した際に、1のプロバイオティクスを含む発酵乳製品を食べた被験者の人びとに比べて、他の2グループの被験者の脳内の感情の過程は敏感に反応していたとのこと。

プロバイオティクスを含む発酵乳製品の被験者の方が、脳の中央域に位置する休んでいる域の活動が冷静な状態を保っており、脳の働きに慌てずに動く規制が働いている状態を保っていることが、感情の行動をある程度規制できることから、不安やストレス、心配、敏感な痛みなどが発生しにくい状態を保ちやすいと結論付けされています。

 

もう1つの調査報告はマウスを用いた研究でも1つ目の調査報告と同じような結果となり、発酵乳製品やプロバイオティクスなどの腸内細菌が脳に影響を与えることと、迷走神経との関連の可能性も報告されています。

研究者らは慢性的にラクトバチルス・ラムノサスを用いた治験をおこない、一般的なマウスではストレス関連の不安やうつ関係の行動が軽減できることが示されていると伝えています。

また、横隔膜部より下部の迷走神経をカットしたマウスでストレス関連の不安やうつ関係の行動の軽減は確認できなかったとしています。

 

2つの調査から結論として、研究者らはいくつかのプロバイオティクスの分子は、人のストレスや不安のストレスを規制できる可能性があることが示されていることと、ストレス関連障害の新たな治療の始まりになる可能性があると伝えています。

 

Bravo JA, Forsythe P. Chew MV, et al. Ingestion of Lactobacillus stain regulates emotional behavior and central GABA receptor expression in a mouse via the vagus nerve. PNAS September 20, 2011;108(38):16050-16055.

Available at www.pnas.org/content/108/38/16050.full.pdf&html.

Accessed June 23, 2014

 

Tillisch K, Labus J, Kilpatrick L, et al. Consumption of fermented milk product with probiotic modulates brain activity. Gastroenterology. 2013:144:1394-1401.

Available at www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/anticles/PMC3839572.

Accessed July 24, 2014

 

 

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