食物繊維と発酵食品の伝統的アフリカ食が炎症性疾患を防ぐ可能性?
慢性炎症は、心疾患や2型糖尿病など、現代の生活習慣病の主な原因とされています。
最近の研究では、加工食品中心の現代人の西洋型の食生活が、特に炎症を引き起こしやすいこと、また、対照的に、植物性食品が豊富な伝統的な食事は、炎症を抑え、免疫機能や代謝の健康を促進する効果があることがわかっているようです。
植物性食品が豊富な伝統的な食事と炎症性疾患について探ります。
伝統的アフリカ食が健康に及ぼす影響を調べる研究
タンザニア北部のキリマンジャロ地域の若年男性77人を対象に、西洋型食と伝統的アフリカ食が健康に及ぼす影響を調べた研究があります。
研究チームは、3つのグループに分けて2週間の食事に介入し、調査が行われました。
グループ1:通常伝統的な食事をしている23人が、西洋型食に変更
グループ2:通常西洋型の食事をしている22人が、伝統的アフリカ食に変更
グループ3:西洋型食をしている22人が、伝統的な発酵飲料「ンベゲ」を1週間摂取
食事介入の前後、さらに介入終了4週間後に血液検査を行い、免疫反応、炎症マーカー、代謝状態などを評価しました。
その結果、西洋型食の影響が炎症を促進し免疫機能を低下させることが明らかになったようです。
伝統食から西洋型食に変更したグループでは、以下のような変化が見られました。
-白血球や炎症性たんぱく質の増加
-炎症関連の遺伝子発現の変化
-病原体への免疫応答の低下
-生活習慣病に関連する代謝経路の乱れ
一方で、西洋型食から伝統的食事に切り替えたグループや、発酵飲料を摂取したグループでは、炎症が抑えられ、免疫や代謝の改善が見られたようです。
さらに、一部の効果は介入終了4週間後も持続しており、短期間の食事変更でも長期的な健康効果が期待できることが報告されました。
伝統的アフリカ食が健康に良い理由
研究で用いられた伝統的なアフリカ食には、以下のような食材が使用されていました。
-緑茶・紅茶
-緑黄色野菜
-豆類
-プランテーン(調理用バナナ)
-サツマイモ、キャッサバ、タロイモなどの根菜
-雑穀(ミレットやソルガムなど)
これらの食品は、食物繊維やポリフェノールといった抗炎症成分が豊富です。
それに加えて、これらの成分は、腸内細菌叢を整え、免疫機能や代謝の改善に役立つことが報告されているとのことです。
さらに、ンベゲのような発酵食品には、有益な腸内細菌とフラボノイドなどが含まれており、免疫力の強化や血管の健康にも好影響を与えるとされています。
西洋型食の問題点
対照的に、西洋型の食事では以下のような食品が中心だったようです。
-加工肉
-ピザやフライドポテト、フライドチキン
-精製された炭水化物(白パン、スパゲッティ、パンケーキ)
このような食品は、精製糖質や飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、添加物などを多く含んでおり、栄養的バランスを欠いています。
こうした食事を日常的に摂取することは、慢性的な炎症や酸化ストレスを引き起こしやすく、体内の代謝機能や免疫機能に悪影響を与えるとされています。
また、有害な菌が増えることで、腸内環境の乱れを招くこともわかってきています。
その結果、腸と全身の健康に深く関わる「腸-脳相関」や「腸-免疫系」のバランスが崩れ、生活習慣病やメンタルヘルスの悪化にもつながる恐れがあります。
まとめ
今回の研究は、伝統的な伝統的アフリカ食が持つ健康効果を科学的に裏付けるものとなったようです。
高繊維で発酵食品も取り入れた植物性中心の食生活は、慢性炎症を抑え、免疫と代謝の健康を支える方法の一つとなる可能性があるようです。
それらの点からも、伝統的なアフリカの食べ物や食事は日本の伝統的な和食とも似ていると言えるのではないでしょうか?
私たちの身体は、精神的なことや考え方に至るまでも食べたものでできています。
毎日何を食べるかが、数年後、数十年後の自分の健康に大きく影響します。
加工食品に頼るのではなく、地域の伝統を取り入れた自然な食材や発酵文化を見直すことが、健康を守るヒントとなると思います。
西洋型の食事を一切摂取しないと決める必要はありませんが、植物性、発酵、伝統食を基本とする食生活への変更が、現代病を防ぐ一歩となるかもしれません。
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引用文献:
Diet high in fiber, fermented foods could keep inflammatory diseases at bay