カンジダ菌などにも自然の抗菌作用をもつカプサイシンの作用とは?
新型コロナウイルスの流行以降、ますます除菌、抗菌をうたった商品が増えています。
カプサイシンは、トウガラシに含まれる主要な化学成分であり、辛味を生じる原因となる物質です。
しかし、カプサイシンはその辛味成分だけでなく、さまざまな健康効果を持つことが研究によって明らかになっています。
その一つが抗菌作用であり、特に感染症の予防や治療において注目されています。
カプサイシンにはどのような作用があるのでしょうか?
一つずつ見ていきます。
1.抗菌作用
カプサイシンは、さまざまな種類の細菌に対して強力な抗菌作用を示すことがわかっています。
特に、グラム陽性菌やグラム陰性菌に対して静菌または殺菌作用を発揮することが確認されています。
これにより、カプサイシンは院内感染やその他の細菌感染症における新しい治療法として注目されています。
例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)やA群溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)といった病原菌に対して、カプサイシンが強い抗菌効果を示すことが報告されています。
黄色ブドウ球菌に関しては、カプサイシンが細胞生存率を低下させ、殺菌効果を発揮することが確認されています。
黄色ブドウ球菌による感染症には、皮膚の膿症や食中毒、肺炎、骨髄炎、細菌性心内膜炎、さらには髄膜炎や敗血症などが挙げられます。
また、A群溶血性連鎖球菌は、咽頭炎や急性糸球体腎炎などの原因と考えられています。
さらに、腸球菌やリステリア菌、コレラ菌、アシネトバクター・バウマニーといった、多剤耐性菌に対してもカプサイシンが有効であることが報告されています。
これらの細菌は、通常の抗生物質に対して耐性を示すことが多いため、カプサイシンは新しい治療法として非常に有望と考えられているようです。
2. 抗真菌作用
カプサイシンの抗菌効果は、真菌に対しても有効であることが示されています。
特に、カンジダ属の真菌、特にカンジダ・アルビカンスに対して強い抗真菌作用を示すことが報告されています。
カンジダは通常、人体に常在する無害な菌ですが、免疫力が低下したときなどにカンジダ菌過多となり感染症を引き起こすことがあります。
カプサイシンは、この真菌に対して酵母細胞を死滅させる作用を持ち、カンジダ感染の予防や治療に役立つ可能性があるとされています。
3. 抗寄生虫作用
カプサイシンは、トキソプラズマ・ゴンディやトリパノソーマ・クルージなどの寄生虫にも効果を発揮することが分かっています。
これらの寄生虫は、深刻な健康問題を引き起こすことがあります。
カプサイシンは、寄生虫の攻撃性を大幅に低下させ、感染の予防に役立つ可能性があると報告されています。
4. 抗ウイルス作用
一部の研究によると、カプサイシンはウイルスの侵入や増殖を抑制する作用を持つ可能性があるとされています。
特に、ウイルスが細胞内に侵入する過程や増殖過程において、カプサイシンが障害を与えることで、感染症の拡大を防ぐことができるかもしれません。
今後の研究において、カプサイシンの抗ウイルス作用がより明確にされることがますます期待されています。
5. 抗炎症作用
カプサイシンは、炎症や免疫応答に関わる重要な役割を果たしているソマトスタチンやサブスタンスPという物質の分泌や作用に影響を与えることでも知られているようです。
カプサイシンは、これらの物質のバランスを調整することで、炎症を抑制し、免疫応答を正常化させることが報告されています。
この作用により、カプサイシンは炎症性疾患の治療にも役立つ可能性があります。
カプサイシンの将来の可能性
このようなカプサイシンの抗菌作用や抗真菌作用、抗ウイルス作用は、現代医学において非常に注目されているようです。
特に、多剤耐性を示す病原菌や新たな感染症に対する治療法として、カプサイシンが重要な役割を果たす可能性があります。
現在の抗生物質が効かない病原菌に対して、カプサイシンを基盤にした新しい治療法が開発されることで、感染症の治療に革命をもたらすことが期待されています。
カプサイシンは細胞膜を通過しやすい性質を持っており、薬を効率よく細胞に届けるための媒介物質としても利用されることが研究されているそうです。
今後の研究によって、その効果がさらに明らかになり、実用化が進むことが期待されています。
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引用文献:
Antimicrobial Properties of Capsaicin: Available Data and Future Research Perspectives