電子タバコや加熱式タバコの健康への影響

2021年07月07日

健康と予防の生活習慣

電子タバコや加熱式たばこよる喫煙は、従来のタバコに代わる喫煙方法として愛煙者による人気が世界中で高まっているようです。
加熱式タバコによる喫煙は煙が少ないものとして人気となっていますが、一般的に健康にはどのような影響があると考えられ、また報告がなされているのでしょうか?

1.電子タバコと加熱式たばこの違い

紙巻式たばこに代わって採用される機会の増えた電子タバコや加熱式タバコですが、それぞれどのようなものでしょうか?

wikipediaによる紹介では、電子タバコとは、次のようなたばこであることが示されています。
-ニコチンを基本とした液体(日本国内で市販されているのはニコチンを含まない液体)を蒸発(気化)させ吸引し、紙巻きタバコを吸うことに似た経験をするための、紙巻きタバコに似た形状の器具。

また、加熱式たばことは、次のようなたばことして、記載されています。
-燃焼させずに加熱して使用するタバコである。タバコ葉を加熱し、ニコチンを含むエアロゾルを生成する。燃焼製品に似せて設計されている。

このことから、いずれの製品も従来のタバコ同様にニコチンを吸入、排出する器具であることは間違いありません。
では、その影響は紙巻きたばこと比べて少ないと考えられているのでしょうか?

2.非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに関する日本呼吸器学会の見解

日本呼吸器学会は、2017年に「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに関する日本呼吸器学会の見解」を発表しました。
それによると、

-加熱式タバコや電子タバコが産生する一般的なエアロゾルには有害成分が含まれていること、
-加熱式タバコの喫煙者や電子タバコの使用者の呼気には有害成分と考えられる物質が含まれており、喫煙者だけでなく、他者にも健康被害を起こす可能性が高いこと、
-加熱式タバコはタバコ製品であり、紙巻きタバコから加熱式タバコに切り替えることは禁煙にはならないこと、

などがある程度明確と言える内容で記載されていました。
上記の記述は、日本呼吸器学会の見解ですが、それでは、海外の論文などにはどのような報告があるのでしょうか?

3.加熱式たばこと心血管の健康

海外の論文例によると、加熱式タバコ製品は、ニコチン、粒子状物質、ベンゼン、アクロレイン、タバコ特有のニトロソアミンなど、有害な化学物質の主流および二次排出を生み出すことがわかっています。
これらの排出量は、従来のタバコよりも少ないにもかかわらず、心血管の健康に有害な可能性があることが考えられているようです。
現在の喫煙者を対象とした研究では、加熱式たばこ製品と従来のたばこが心拍数、血圧、動脈硬化に同様の急性影響を与えることがわかっています。
実際の動物実験においても、加熱式たばこ製品の煙にさらされたラットは、従来のたばこの煙にさらされたラットと同様の血管内皮機能障害を示したそうです。
加熱式タバコ製品の心血管への影響はまだ研究段階ではありますが、明るいものとは言えないようです。

まとめ

煙の少ない便利な加熱式タバコの使用は、健康に一歩近づいたという感覚になりがちかもしれません。
ですが、実際は研究段階ではあるものの、従来のタバコと比べて大きな禁煙効果があるわけではないことがわかります。
また、加熱式タバコは歴史が浅いため、今後、喫煙者や周囲の人にとってどのような健康被害が出てくるかわからないという懸念もありそうです。

以前は、タバコはファッションの一部のように考えられていた時代もありました。
ですが、時代は移り変わっています。
健康のために食べ物や食事だけでは補えない栄養素については、補助的栄養素であるサプリメントを摂取する習慣が広がったり、品質の良い食品を食べたりすることと同時に、不要なものを体に入れない努力も必要と言えます。

喫煙者にとっては耳の痛い話かもしれませんが、従来のタバコを加熱式タバコに変更したことで、禁煙に近づいた、もしくは副流煙に気遣うことができていると考えることは少なくとも研究段階の現時点においては勘違いと言える内容のようです。
この機会に、それらの違いと健康に与える影響についての理解を広げるきっかけになれば幸いです。

参考文献:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33006919/
https://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=127

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