3人に1人が認知症時代と介護の現場から

2016年07月19日

シニア夫婦

 

日本でも75歳以上の3人に1人が認知症となる時代を迎えることとなり、認知症も介護も身近に感じる人が増えてきているのではないでしょうか。

介護も抱える大きな人気の特別老人ホームで長年にわたり多くの認知症と介護に携わる現場の専門医から認知症の心構えについてヒントを探ります。

 

病院と介護の現場:

テレビでも何度も紹介されるその人気の方は、慶応大学医学部卒業の血管外科医でエリート医師とも紹介される石飛幸三医学博士です。

石飛先生は、医学生時代に何度も「医師の使命は、人の命を一時間でも延ばさないといけない」ということと、それに反するようなことは考えてはならないと学ばれたそうです。

それに加え、刑法218条に記載される命は延ばさないといけないということが、彼の医療に対する忠誠心として心を支えてきたとのこと。

それが、ロンドンホスピスでの経験をきっかけに、心ある医者になり直したと語られています。

 

その経験から現在は東京都世田谷区にある150床もある大きな特別老人ホームで、長年にわたって多くの入所者の命をみとってきた先生でもあります。

病院で勤務してきた時とは違い、介護が中心となる施設では、入所者の平均年齢は90歳近くになり、認知症と診断される人は約90%と非常に高く、それが一般的なこととのことです。

ほとんどの人が意思の伝達がうまくできず、入所者の90%が女性なのだそうです。

とはいえ、認知症を発症していても、心はその人の中に存在する上、きちんとしたプライドもしっかり残っていることからも、一般家庭での介護が大変な点でもあり、そのことも、尚更施設に入る人が多い理由ともいわれます。

 

海外との違い:

日本にはアメリカをはじめとする他国がうらやむ医療保険が存在します。

アメリカでは日本とは異なり、病院でも薬代でも日本以上に驚くほど費用がかかることも多く、医療保険に加入したくても高すぎて入れないと感じる人も多いのが現実です。

日本に住んでいると、いかに安心して医療にかかれるかに気づかされます。

実際は医療費や薬代が安いというよりは、それらの費用を税金でまかなってくれているという意味において、日本では安心して生活ができるということになります。

 

病院や介護もある老人施設の食事においても海外とは異なり、日本の病院でも介護の現場でも日本人や優しすぎるから食事で1500キロカロリーの壁が存在することからも、食べることができなくなってくると、食べ物の代わりに胃ろうや点滴が食事に取って代わるのが一般的なのだそうです。

胃ろうについては、良い点と注意する点があり、良い部分は口から食べ物の摂取ができなくなっても体内に栄養素を入れることができることでありますが、注意すべき点として、口腔ケアが必要といわれます。

食べ物を食べないから胃瘻にすると、唾液が出にくくなることから、喉が渇きやすくなり、その結果として雑菌が入りやすくなり、そして肺炎になる可能性が高まることが知られています。

 

私も含め、病院で家族が入院していると、身体が弱っている時に点滴や胃瘻を勧められ、私たちもそうすることが当たり前のようにさえ感じることも多いのではないでしょうか?

石飛先生の話を伺っているうちに、その当たり前のことが当たり前ではなくなりました。

彼が人気で素晴らしく、尊敬するに値すると私も心底感じたのは、彼が言う「老いるということは自分を豊かにしてくれる。勲章やお金や建前はどうでも良くなる」という本音が軸になっているからのように感じます。

 

今回のお話しで、認知症との向き合い方の再考、そして視野が大きく広がりました。

 

 

参考にした情報:

2014年7月24日にNPO法人イーマによって開催された健康医療福祉セミナーより

講師:石飛幸三医学博士

 

 

 

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