Wi-Fiががんを引き起こす可能性がある?Wi-Fiの健康への影響は?
Wi-Fiは、私たちの暮らしに深く浸透しています。
Wi-Fiはスマートフォンやパソコンを無線でインターネットに接続する便利な方法の一つですが、その一方で「健康への影響はないのか」「がんの原因になるのでは?」といった不安の声も聞かれているようです。
Wi-Fiががんを引き起こす可能性があるのかについて、科学的な根拠に基づいた最新の情報になり得るのかをまとめます。
Wi-Fiとがんの関係は?
現時点で「Wi-Fiががんを引き起こす」と断定できる科学的証拠は存在していないようです。
ただし、完全に無関係とも言い切れないため、研究は継続されているようすです。
世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は2011年、Wi-Fiなどの電磁場を「ヒトに対して発がん性の可能性がある」と分類したのだそうです。
これは主に動物実験や一部の観察研究に基づいているそうです。30人の科学者によって評価されました。
一部の研究では、電磁波が脳腫瘍(特に神経膠腫)と関連している可能性も示唆されているようですが、はっきりとしたことがわかっていないため研究が続けられています。
動物実験でわかったこと
多くの研究は動物を対象に行われており、以下のような結果が報告されているようです。
たとえば、2015年の研究では、長期的なWi-Fi曝露により、ラットの子宮で酸化ストレス(細胞にダメージを与える状態)が発生したことが報告されています。
また、2018年の研究では、抗酸化酵素の働きが低下し、酸化ストレスに対抗する力が弱まったことも報告されています。
ただし、これらの結果が人間にもそのまま当てはまるかどうかは不明であり、さらなる研究が求められています。
Wi-Fiの他の健康リスクは?
Wi-Fiには、癌だけでなくほかのリスクをも引き起こす可能性があるものとして知られているようです。
例えば以下のような場合です。
-男性の不妊リスク
2014年と2016年の動物実験では、Wi-Fi電磁波が精巣にダメージを与えたり、精子の運動能力を低下させたりする可能性が指摘されています。
また、2015年に行われた1000人以上の男性を対象にした調査では、無線インターネットの使用者は有線インターネットの使用者よりも精子の運動率が低かったとされています。
しかし、喫煙など他の要因が考慮されていないため、確実な結論とは言えません。
-認知機能への影響
2017年の動物を用いた研究では、Wi-Fi曝露によって認識力が低下したと報告されています。
また、神経変性疾患への関与が疑われる結果もありますが、やはり人間での証明はされていません。
-心臓への影響
2015年の動物研究では、Wi-Fiがウサギの心拍や血圧に影響を与えたという報告がありますが、作用のメカニズムはまだ分かっておらず、人体への影響を証明するには至っていません。
一方、Wi-Fiの健康被害については、科学的根拠のない主張も多く出回っています。例えば以下のような場合です。
-自閉症
-頭痛、めまい、吐き気、疲労感
-心臓の動悸や皮膚症状
ただし、これらの症状がWi-Fiと関連しているという直接的な証拠は現時点では無さそうです。
まとめ
Wi-Fiは、インターネット接続などに広く利用されている電磁波技術の一種です。
現在のところ、Wi-Fiの使用とがんの発症との間に明確な因果関係を示す科学的な証拠は確認されていません。
多くの専門機関や国際的な保健機関も、一般的な使用範囲におけるWi-Fiの電磁波が健康に及ぼすリスクは極めて低いとしています。
しかし一方で、一部の動物実験においては、長期間・高出力の電磁波曝露により、細胞や組織に何らかの生体反応が見られたという報告もあります。
これらの結果が人間にどの程度当てはまるのかについては、まだ明確ではなく、今後さらなる長期的かつ包括的な研究が必要とされています。
そのため、科学的根拠に基づく情報を注視しつつ、不安がある場合には、寝室ではWi-Fiルーターの電源を切るなど、電磁波への曝露を最小限に抑える工夫も一つの方法と言えるでしょう。
また、Wi-Fiの利用はネット環境への接続を意味し、長時間の使用による目や脳への負担、睡眠の質の低下といった間接的な健康への影響が懸念されます。
信頼性の低い情報に惑わされず、科学的根拠に基づいた冷静な判断が大切です。
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引用文献:
Does Wi-Fi Cause Cancer?